ブックマーク / morningrain.hatenablog.com (22)

  • 富永京子『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史』 - 西東京日記 IN はてな

    自分は1970年代半ばの生まれで、90年代の前半に明治大学に入学したのですが、入学式の日にヘルメットを被った活動家の人たちが新入生にビラを配っている光景に驚いたのを覚えています。 もうなくなったと思っていた学生運動的なものがまだ残っていたことに驚いたわけですが、それくらい70年代後半〜90年代にかけて学生の政治運動というものは退潮してしまった(少なくともそのイメージがあった)状態でした。 これはなぜなのか? この70年代後半〜90年代にかけての若者の政治や社会運動からの撤退の謎を、1974年に創刊され、85年に刊行を終えた雑誌『ビックリハウス』の分析を通して明らかにしようとしたのが書です。 『ビックリハウス』については糸井重里による「ヘンタイよいこ新聞」のコーナーなどが今までも社会学者などによって分析されてきたので、ご存じの方も多いでしょう。自分も世代ではないですが、宮台真司や北田暁大の

    富永京子『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史』 - 西東京日記 IN はてな
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    zu2 2024/09/25
  • ベン・アンセル『政治はなぜ失敗するのか』 - 西東京日記 IN はてな

    出版社は飛鳥新社で400ページ超えのにもかかわらず定価が2273円+税で、みすず書房とかのを買い慣れている人には「???」という感じなのですが、決して怪しいではありませんし、35歳の若さでオックスフォード大学の正教授になったという著者が、現代の政治がうまくいかない理由を実証と理論の両面から教えてくれる非常にためになるです。 監訳者は『大阪 大都市は国家を超えるか』や『分裂と統合の日政治』の砂原庸介ですが、砂原庸介・稗田健志・多湖淳の教科書『政治学の第一歩』と同じように、書も集合行為論をキーにさまざまな問題が論じられており、具体的なテーマを通じて政治学の理論も学べる形になっています。 目次は以下の通り。 第1部 民主主義―「民意」などというものは存在しない 第2部 平等―権利の平等と結果の平等は互いを損なう 第3部 連帯―私たちが連帯を気にするのは、自分に必要なときだけ 第4部 

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    zu2 2024/08/17
  • 平野克己『人口革命 アフリカ化する人類』 - 西東京日記 IN はてな

    去年の夏に出たときに読もうと思いつつも読み逃していたのですが、これは読み逃したままにしないでおいて正解でした。 著者が2013年に出した『経済大陸アフリカ』(中公新書)は、アフリカの現実から既存の開発理論に再考を迫るめっぽう面白いでしたが、今作も人口について基的な理論を抑えつつ、それに当てはまらないアフリカの動きを分析していくことで、未来の世界が垣間見えるような面白いです。 目次は以下の通り。 第1章 人口革命と人口転換 第2章 グローバル人口転換 第3章 アフリカの人口動向 第4章 人口と糧 第5章 人口と経済 18世紀後半からイギリスで1%を上回る人口増加が持続的につづいたことが人口革命の始まりと言われています。その結果、イギリスの人口は1801年の約1600万人から1920年には約4682万人まで3倍近くになりました。 これがアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド

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    zu2 2023/03/05
  • 北村亘編『現代官僚制の解剖』 - 西東京日記 IN はてな

    2019年に出版された青木栄一編著『文部科学省の解剖』は、過去に村松岐夫が中心となって行った官僚サーベイ(村松サーベイ)を参考に、文部科学省の官僚に対して行ったサーベイによって文部科学省の官僚の実態を明らかにしようとしたものでした。 書は、それを受ける形で文部科学省以外の省庁(財務省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省)にも対象を広げて行われたサーヴェイ・2019年調査(書はヴェイ表記)をもとにして分析を行っています。 執筆者では、北村亘、青木栄一、曽我謙悟、伊藤正次といったところが『文部科学省の解剖』とかぶっています。 現代において完了に対してサーヴェイを行う難しさというものはあるのですが(松村サーベイは「行政エリート調査」と題されていましたが、現在ではこのタイトルではいろいろ警戒されてしまうでしょう)、やはり実際に調査をして見えてくるものはありますし、現代の日の官僚が

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    zu2 2022/06/19
  • ヤン・ド・フリース『勤勉革命』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「資主義を生んだ17世紀の消費行動」。タイトルと副題を聞くと、「勤勉革命なのに消費行動?」となるかもしれません。 「勤勉革命」という概念は、日歴史人口学者の速水融が提唱したものです。速水は、江戸時代の末期に、家畜ではなく人力を投入することで収穫を増やす労働集約的な農業が発展したことを、資集約的なイギリスの産業革命と対照的なものとして「勤勉革命」と名付けました。 書によると、この労働時間の増大は17世紀後半のオランダにも見られるといいます。著者は、およそ1650〜1850年の時期を「長い18世紀」と呼んでいますが、この時期、世帯単位の労働時間は増えていきました。 この時期のオランダで「勤勉革命」などと言うと、マックス・ウェーバーを読んだ人であれば「プロテスタンティズムの影響?」と思うかもしれませんが、著者が書で指摘する要因はずばり「消費」です。 この時期のオランダでは、陶器

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    zu2 2021/06/06
  • 酒井正『日本のセーフティーネット格差』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「労働市場の変容と社会保険」。この書名と副題から「非正規雇用が増える中で社会保険がセーフティーネットの役割を果たせなくなってきたことを指摘しているなのだな」と想像する人も多いでしょう。 これは間違いではないのですが、書は多くの人の想像とは少し違っています。「日の社会保険の不備を告発する」とも言えませんし(不備は指摘している)、「非正規雇用の格差を問題視し日的雇用の打破を目指す」といったでもありません。 書はさまざまな実証分析を積み重ねることで、この問題の難しさと、改革の方向性を探ったものであり、単純明快さはないものの非常に丁寧な議論がなされています。特に仕事と子育ての両立支援を扱った第3章と、若年層への就労支援などを論じた第6章、最近流行のEBPMについて語った第7章は読み応えがあります。 目次は以下の通り 序章 日の労働市場と社会保険制度との関係 第1章 雇用の流動

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    zu2 2020/05/31
  • 谷口将紀『現代日本の代表制民主政治』 - 西東京日記 IN はてな

    書では1ページ目にいきなり下のようなグラフが掲げられており、「この図が、書の到達点、そして出発点である」(2p)と述べられています。 グラフのちょうど真ん中の山が有権者の左右イデオロギーの分布、少し右にある山が衆議院議員の分布、そしてその頂点より右に引かれた縦の点線が安倍首相のイデオロギー的な位置です。 これをみると、国民の代表である衆議院議員は、国民のスタンスよりもやや右に位置しており、衆議院議員から選出された安倍首相はさらに右に位置しています。 どうしてこのようなズレがあるにもかかわらず、安倍政権は安定しているのか? それが書が答えようとする問いです。 書は、著者と朝日新聞社が衆議院選挙や参議院選挙のたびに共同で行っている「東京大学谷口研究室・朝日新聞社共同調査」をもとに、各政党、各議員のイデオロギー位置を推定し、さらに有権者への調査を重ねていくことで、「小泉以降」の日政治

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    zu2 2020/05/08
  •  前田健太郎『市民を雇わない国家』 - 西東京日記 IN はてな

    それは、ある研究会での(城山英明)先生おご発言である。その日のテーマは、原子力政策だったと記憶している。詳しい文脈は覚えていないが、原子力安全規制に携わる人員は日に比べてアメリカの方が圧倒的に多い。その意味でアメリカは案外大きな政府である、という先生のご指摘が筆者には大変印象的だった。気になって調べてみると、原子力行政に限らず、アメリカは日よりも公務員が多い国だった。それまで筆者はアメリカの方が官僚制の権力が弱く、小さな政府なのではないかと思っていただけに、この事実は極めて反直観的であった。そして、なぜ日では公務員がこれほど少ないのか、その理由が知りたくなった。(294p) これはこのの「あとがき」に書かれている文章ですが、確かに「日公務員アメリカよりも少ない」と聞くと、「えっ?」と思う人も多いでしょう。アメリカは「小さな政府」であり、それに比べると日には肥大化した官僚機構

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    zu2 2020/05/05
  • 木下衆『家族はなぜ介護してしまうのか』 - 西東京日記 IN はてな

    「家族はなぜ介護してしまうのか」、なんとも興味をそそるタイトルですが、書は、認知症患者のケアにおける家族の特権的な立場と、それゆえに介護専門職というプロがいながら、家族が介護の中心にならざるを得ない状況を社会学者が解き明かしたになります。 書は専門書であり、イアン・ハッキングや「概念分析」の考えを援用しながら認知症と介護について分析したりもしています。ただし、多くは分析は当事者の実際の声を拾いながら行われており、社会学の難しい概念がわからなくても介護経験者などには「わかる」部分が多いのではないかと思います。介護問題が身近になくても、対人援助職についている人などは「わかる」と感じる部分が多いのではないでしょうか。 また章と章の間にはコラムも挟まれており、実際に介護問題に直面している人はそこから読んでみてもいいかもしれません。 目次は以下の通り。 はじめに 序章 新しい介護、新しい問題

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    zu2 2020/03/12
  • 岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「市場経済化後のカザフスタン」。中央アジアのカザフスタンを舞台に人々の生活の間に賄賂がどのように根を下ろしているのか、人びとはそれをどう感じているのかということを探ったになります。 途上国において、賄賂がものを言うと話はよく聞きますし、賄賂を始めとした腐敗や不正が経済成長を阻んでいるという話も聞きます。 では、実際に賄賂がさかんに使われている国における生活はどのようなものでしょうか? 書では、多くの人々へのインタビューを通じてカザフスタンにおける驚くべき実態を明らかにするとともに、賄賂が組み込まれた社会の仕組みを明らかにしています。 目次は以下の通り。 第1章 中央アジアの新興国カザフスタン 第2章 市場経済化がもたらしたもの 第3章 治安組織と司法の腐敗 第4章 商売と〈袖の下〉 第5章 入学も成績もカネしだい 第6章 ヒポクラテスが泣いている カザフスタンと聞いてもあまりピン

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    zu2 2020/01/30
  • ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生』 - 西東京日記 IN はてな

    2016年に大西洋を挟んで起きたイギリスのBrexitアメリカの大統領選でのトランプの当選は世界に大きな衝撃を与え、この2つの事柄が起きた背景や原因を探るが数多く出されました。 書もそうしたの1つなのですが、何といっても書の強みは2016年以前からイギリスのイーストロンドンとアメリカのオハイオ州ヤングスタウン(金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)でも中心的に取材していた場所)で白人労働者階級をフィールドワークしていたことです。つまり、ある意味でBrexitトランプ現象を起こした地殻変動を予測していたでもあります。 白人労働者が感じている「剥奪感」に注目しながら、同時に彼らの声がまともにとり上げられなかった政事的背景に対しても踏み込んだ分析を行っており、読み応えがあります。 そして何よりも、彼らの生の声を聞くことで、問題の根深さを知ることができるでもあります。 目次は以

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    zu2 2019/12/21
  • 神林長平『いま集合的無意識を、』 - 西東京日記 IN はてな

    この前読んだ『絞首台の黙示録』が非常に奇妙で面白かったので、神林長平の2012年に出版された短編集を読んでみました。 なんといっても注目を集めるのが、パソコンの画面に伊藤計劃を名乗る文字列が現れて神林長平人らしき作家と対話を行う表題作の「いま集合的無意識を、」でしょう。 ただし、この文章は小説というよりは書評なんだと思います。伊藤計劃の『ハーモニー』に対する鋭い批評になっています。 それよりも自分が興味深く読んだのが冒頭に置かれた「ぼくの、マシン」。 「戦闘妖精雪風シリーズ」のスピンオフ作品で、シリーズを全く読んでいないと面白くないかな? と思ったのですが、これが一番面白い作品でした。 テーマは「ネットワーク、あるいはクラウドの拒否」といったもので、自らのパソコンを所有するために、ネットワークへの接続への拒否するというものです。 最近のソフトはネットワークに繋がっている事が前提になってい

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    zu2 2019/12/12
  • 田中(坂部)有佳子『なぜ民主化が暴力を生むのか』 - 西東京日記 IN はてな

    紛争が終結して、新しい国づくりを始めてそのために選挙も行ったのに、再び政事的暴力が噴出してしまう。これはよくあるパターンだと思います。近年だと南スーダンがそうでした。PKOで派遣されていた自衛隊が武力衝突に巻き込まれそうになっていたのは記憶に新しいと思います。 書は、タイトルのように「なぜ民主化が暴力を生むのか」という問に答えようとしたです。中心的な事例としては東ティモールを、分析手法としては計量分析とゲーム理論を主に用いながら、民主化が暴力を生み出すメカニズムを明らかにしようとしています。 個人的には分析の仕方にいまいちピンとこない部分もあったのですが、テーマ的には非常に興味深いものですし、いくつかの興味深い知見もあります。 目次は以下の通り。 第1章 民主化は暴力を生む? 第2章 先行研究と書の分析枠組み 第3章 紛争後社会における小規模な政治暴力の発生―政治体制と政治制度が及ぼ

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    zu2 2019/12/04
  • 帶谷俊輔『国際連盟』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「国際機構の普遍性と地域性」。国際連盟の抱えていた問題を、第一次世界大戦後の中国に対する連盟のスタンスや、南米のチャコ紛争に対する連盟の関わりなどから探ろうとしたになります。 国際連盟というと「失敗だった」というイメージが強いと思います。何といっても第2次世界大戦を防げなかったことは致命的ですし、満州事変への対処をはじめとして、紛争の防止や調停といった面でもあまり効果をあげていない印象があります。もちろん、篠原初枝『国際連盟』(中公新書)などを読むと、連盟に寄せられた期待や連盟の果たしてきた役割はそれなりに見えてくるのですが、やはり「失敗した組織」という印象は拭えないと思います。 ところが、国際連盟の失敗を乗り越えて作られたはずの国際連合がウクライナ危機などにおいて有効な対処を取れないのを見ると、結局、大国のルール違反に対して無力だという点では連盟も連合も無力なのだとも言いたくもな

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    zu2 2019/10/03
  • マンサー・オルソン『集合行為論』 - 西東京日記 IN はてな

    集団と集合財(公共財)の関係を論じた古典的著作。やはり読んでおくべきかと思って読んでみました。 ただ、O・E・ウィリアムソン『市場と企業組織』を読んだときにも思いましたけど、完全に古典というわけでもない少し古めのを読むと、文脈や著者は想定している論敵の理論といったものがわからずに、内容を掴むのがやや難しいですよね。 というわけで、以下では「なるほど」と思った部分を簡単に紹介します。 目次は以下の通り。 序 章 第1章 集団と組織の理論的考察 第2章 集団規模と集団行動 第3章 労働組合と経済的自由 第4章 国家と階級の伝統理論 第5章 伝統的な圧力団体論 第6章 「副産物」理論と「特殊利益」理論 1971年版の補遺 書が問題としている1つのポイントは、集合財の獲得を目指す集団において、小集団では構成員の共通の利益は達成されやすいが,大集団では達成されにくいというものです。小集団であれば

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    zu2 2019/09/20
  • ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな

    それぞれ数多くの論文を発表し高い評価を得ているアセモグルとロビンソンが「経済成長はどのような条件で起こるのか?」という大テーマについて論じた。読もうと思いつつも今まで手が伸びていなかったのですが、授業でこのと似たようなテーマを扱うことになったので、文庫版を手に入れて読んでみました。 目次は以下の通り。(第1章〜第8章までが上巻、第9章以降が下巻) 第1章 こんなに近いのに、こんなに違う 第2章 役に立たない理論 第3章 繁栄と貧困の形成過程 第4章 小さな相違と決定的な岐路―歴史の重み 第5章 「私は未来を見た。うまくいっている未来を」―収奪的制度のもとでの成長 第6章 乖離 第7章 転換点 第8章 領域外―発展の障壁 第9章 後退する発展 第10章 繁栄の広がり 第11章 好循環 第12章 悪循環 第13章 こんにち国家はなぜ衰退するのか 第14章 旧弊を打破する 第15章 繁栄と貧

    ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』  - 西東京日記 IN はてな
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    zu2 2019/09/02
    “戦国時代では日本全体を巻き込むような経済成長はありえず、信長や秀吉による中央集権が必要なんだけど、そうした個人的な独裁はいずれ収奪的にならざるを得ないので、何らかの形で権力の多元化が必要に”
  • ロナルド・イングルハート『文化的進化論』 - 西東京日記 IN はてな

    『静かなる革命』、『カルチャーシフトと政治変動』といった著作で、20世紀後半の先進国では物質主義的価値観から脱物質主義的価値観へのシフトが起こったということを主張したイングルハートが2018年に出版した著作の翻訳。 この理論自体はすでに広く知られているものであったものの、ここ最近のトランプ大統領の誕生や欧州のポピュリズムにおいて、例えば、脱物質主義的価値観の特徴である環境保護や同性愛への寛容などにたいする反動が起こっており、「物質主義的価値観から脱物質主義的価値観へのシフト」という理論が反証されているようにも見えます。 そんな中、書にはトランプ大統領誕生以降のことについて書いた章もあることを知り読んでみました。20世紀後半の世界のトレンドを分析した章も面白いですが、やはり印象に残るのは近年の動きを分析した第9章「静かなる「逆革命」」と第10章「人工知能社会の到来」の2つの章。ここでもこの

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    zu2 2019/08/28
    “国のために戦い人の割合が旧枢軸国(日本・ドイツ・イタリア)で予想される値よりも高く、PKOなどに積極的なスウェーデン、ノルウェー、フィンランドといった北欧諸国で予想される値よりも低いことを示した”
  • 周燕飛『貧困専業主婦』 - 西東京日記 IN はてな

    表紙裏には「100グラム58円の豚肉をまとめ買いするためい自転車で30分走る」、「月100円の幼稚園のPTA会費をしぶる」などと書いてあり、タイトルからしても最近流行りの「貧困ルポ」の一種かと思う人もいるかも知れませんが、そうではありません。 中国生まれの女性で、労働経済学や社会保障論などを専門とする労働政策研究・研修機構(JILPT)の主任研究員でもある著者が、JILPTの行った大規模調査などをもとにして現在の日における専業主婦の以外な姿を明らかにしたになります。 以前は「高収入男性のほど就業率が低い」というダグラス・有沢の法則が知られていましたが、近年では、世帯収入が低いにもかかわらず専業主婦、あるいはもっとも高収入の世帯では専業主婦が少なくなるという現象が見られます(44p図2−3参照)。 書はこうした実態を明らかにしつつ、その理由と問題点、さらには対処法を探っています。この

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    zu2 2019/08/13
  • 遠藤晶久/ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治』 - 西東京日記 IN はてな

    まず、こののインパクトは帯にも書かれている、「維新は「革新」、共産は「保守」」という部分だと思います。 若年層に政党を「保守」、「革新」の軸で分類されると、日維新の会を最も「革新」と位置づけるというのです。そして、以下のグラフ(134p図5.1)から読み取れるように、20代が無知だからというのではなく、20〜40代に見られる現象なのです。 書は、さまざまなサーベイなどを通じて現在の日の有権者の政治意識を明らかにしようとしたです。ソ連の崩壊や社会党の退潮、小選挙区比例代表並立制の導入と新進党、民主党といった野党の誕生の中でも、政治を語る言葉はそれほど変化しませんでしたが、冒頭にもあげた「保守/革新」の変容などをサーベイによって示すことで、若い世代に起きている政治認識の変化を浮き彫りにしています。 さらに都知事選に出馬した田母神俊雄の支持層から分析した日の極右層の姿や、若者の「自民

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    zu2 2019/07/16
  • 羅芝賢『番号を創る権力』 - 西東京日記 IN はてな

    鳴り物入りで導入されたマイナンバー制度ですが、そのしょぼさと面倒臭さにうんざりしている人も多いでしょう。行政事務を効率化し、国民にもさまざまな利便性を提供すると言われていたマイナンバーですが、蓋を開けてみればマイナンバーの通知カードをコピーしてハサミで切ってのりで貼るというアナログな作業が増えただけと感じている人も多いと思います。 思い起こせば住基ネットと住基カードというのもありました。当時、免許を持っていなかった自分は身分証明書代わりに住基カードを取得しましたが、結局、身分証明書の役割を果たしただけで、何かが便利になったという記憶はありません。そして、ひっそりとマイナンバーカードに取って代わられて終わりました。 スウェーデンや韓国やエストニアのように「国民総背番号制度」が確立している国がある一方で、日ではその導入が遅々として進みません。 このは、その理由を日の戸籍制度の変遷や情報化

    羅芝賢『番号を創る権力』 - 西東京日記 IN はてな
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    zu2 2019/04/12