胎児へのウイルス侵入は防げない場合が多いとはいえ、細菌に関しては、少なくとも医学部では、胎児は原則無菌状態で保たれていると教えていると思う。ただこれまで何度も何度も、よく調べれば少量とはいえ細菌が存在すること、あるいは胎盤を通して細菌が胎児に侵入することを示唆する論文は数多く出版されている。とはいえ、結局量の問題で、ほとんど意味のない現象として扱われてきたと思う。 これに対して今日紹介するシンガポールA*Starや英国ケンブリッジ大学を中心とする国際チームからの論文は、細菌の存在とともに、それに対する免疫反応の存在を示し、確実に胎児中の細菌が免疫システムに何らかの影響を及ぼしていることを示した研究で、6月24日号のCellに掲載される。タイトルは「Microbial exposure during early human development primes fetal immune ce