【寄稿】 東日本大震災被災者の 健康調査から見えてくること 坂田清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座教授) 東日本大震災による死者・行方不明者数は,2012年1月17日現在1万9237人で,戦後最悪の自然災害となった。最大で40万人以上が環境の劣悪な避難所に避難せざるを得ない状況が発生した。岩手県では1月17日現在で,大槌町が人口の8.6%,陸前高田市の7.9%,山田町の4.1%,釜石市の2.7%,大船渡市の1.0%が犠牲となった。死者・行方不明者数は陸前高田市1852人,大槌町1307人,釜石市1055人,山田町769人,宮古市534人,大船渡市427人で,県全体では6034人に上り,いまだに1367人が行方不明となっている。 岩手県では被災状況が最も深刻な大槌町,陸前高田市,山田町の3市町約1万人を対象に,厚生労働科学特別研究として被災者の健康に関する長期追跡研究を実施している