「五郎さん、完歩できる自信ありますか?」 「正直、弱気になってます・・・・・」 日付が日曜日に変わりしばらく経った午前1時30分、マリオからのつぶやきにも似た弱音がいきなり聞こえてきた。 この大会に誘ってきたのも唐突なら、本番でいきなり弱音を吐き始めるのも、これもまた唐突だった。 11月11日午前8時20分に小田原城の銅門を元気よくスタートし、平塚高浜台の第1チェックポイントから第2チェックポイントの江ノ島水族館までを問題なく通過。 そのままの勢いで藤沢から戸塚を過ぎ、みなとみらいの美しい夜景をスマホで撮影する余裕も見せながら、さらに第一京浜沿いを歩き品川を目指している最中だったのだ。 戸塚を過ぎるあたりまでは順調だった。 ワイワイと他愛もない無駄話を交え、太陽の傾きに合わせて表情を変える湘南の海や、水面に映る横浜の夜景を楽しみながらの道行きは、しんどいものであったが余力は十分にあり問題は