<『国境なき医師団』の広報から取材を受けた いとうせいこうさんは、団の活動があまりに外部に伝わっていないと思うやいなや、"現場を見せてもらって、原稿を書いて広めたい"と逆取材を申込み、ハイチを訪れることになった...。> 参考記事:「いとうせいこう、『国境なき医師団』を見に行く1(プルーフ・オブ・ライフ)」 空港到着 ハイチの首都、ポルトー・プランスの小さな空港に着いたのが、日付の上で前日の朝八時だったと思う。トランジットの度に時間をホップするように後戻りしたため、俺は時の感覚を失ってただひたすら頬や顎に生えたヒゲをさすってぼんやりした。 空港内で簡単な入国審査(空港税を100ドルほど払うのが主眼だと思えた)をすませている間にも、カリブの陽気な音楽が施設内に響いていた。反響がよく効いていて、そこそこ高価なスピーカーを設置しているなと思った。 だが、いざハイチ国内へ足を踏み入れてみると、空港