「日本ではなぜ、国民皆保険・健康長寿・低費用という三拍子そろった医療を実現できているのか」 2月にボストンを訪れた際、米ハーバード公衆衛生大学院でこんな議論が行われていると聞いて、興味を持った。情報公開や患者参加など、米国の進んだ点を取材に来たというのに、米国の学生・研究者らは日本の医療を高く評価している。それを、新鮮でおもしろく感じた。 日本国内では医療不信が高まっているが、外から見ると日本の良い点が分かる。1か月ほど米国の現場を垣間見て、最先端のがん治療や研究開発は世界の先頭を走っていることを実感できた。しかし、医療保険に入っていない無保険者が4500万人という実態を聞くと、皆保険で所得や職業に関係なく誰もが医療を受けられる日本の制度は有り難い。日本の年間平均外来受診回数は米国の3倍なのに、1人当たり医療費は半分以下。それでいて、平均寿命など健康指標は米国より上だ。 米国の医療について