「生きて帰ってほしかった」。西日本を襲った豪雨で犠牲となった佐賀県伊万里市の山口恭平さん(20)は、利用していた障害者通所施設の近くの川に流され、2日後、下流の海岸で発見された。重い自閉症で、水が大好きだった恭平さん。大雨の中、川を見に行こうとして濁流にのみ込まれたとみられる。両親は「家族の宝だった」と声を震わせた。 両親によると、恭平さんは言葉をうまく話せず、落ち着きがなかった。増水した川に流されたのは6日午後。通っていた「椿(つばき)作業所」で帰る準備をしていた際、職員が目を離したわずかな間に行方が分からなくなった。