(写真:ロシア大統領府公式サイト www.kremlin.ru より) 近年、国際社会におけるロシアの存在感が高まっている。 シリアへの軍事介入、ウクライナのクリミア占領、ジョージア(グルジア)やバルト三国への圧力、中国への接近、北極圏への侵出、そして日本との北方領土問題など、その勢力圏は東西南北に及ぶ。 ロシアの狙いは何か? 軍事的野望の向かう先は? 本稿では、ロシアの対外政策における行動原理を読み解く鍵となる“ロシア独自の「主権」の考え方”について紹介する。 ※本稿は小泉悠著『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版刊)の内容を一部抜粋・編集したものです ※なお、小泉氏は同作にて「第41回サントリー学芸賞〔社会・風俗部門〕」を受賞しました 旧ソ連域外ではウェストファリア的秩序の擁護者 ロシアは闇雲に介入を行っているわけではない。ソ連崩壊後にロシアが軍事プレゼンスを展開させている地域や軍事介