日本は、限界費用ゼロ社会へのグローバルな移行における不確定要素だ。この国は今、中途半端な状態にある。 その苦境を理解するには、日本の現状をドイツの現状と比べてみさえすればよい。両国はグローバル市場における、世界一流のプレイヤーだ。日本経済は世界第3位、ドイツ経済は世界第4位に位置する。ところが、ドイツがスマートでグリーンなIoT(モノのインターネット)インフラへと急速に移行することで共有型経済と限界費用がゼロの社会を迎え入れようとしているのに対して、日本は過去との訣別を恐れ、確固たる未来像を抱けず、岐路に立たされている。 アンゲラ・メルケルの決断 2005年、アンゲラ・メルケルはドイツの首相になると、就任後数カ月のうちに私をベルリンに招いた。在任中に彼女の政権が、どのようにドイツ経済を成長させ、新しい企業や職を創出するかという問題に取り組むのを手伝ってほしいというのだ。 私はベルリンに着く
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