【レビュー上巻】『かぐや姫の物語』「生命を吹き込む魔法」では、作品の表現方法における革新性について述べた。 本稿では、主にシナリオ面において、「竹取物語」という、日本文学史上の偉大なテキストに対し、高畑監督らがどのような意匠を加え脚色したのか、『かぐや姫の物語』の意図と哲学を探ってみたい。 「竹取物語」は、平安時代初期に書かれたものとされるが、詳しい成立年代も、作者も不明である。 内容の描写が非常に簡潔であることは前にも述べたが、それ故に、「何故かぐや姫が地上に降りたのか」、「何故月に帰らねばならなかったのか」についても謎に包まれている、ミステリアスな作品でもある。 写本が確認される室町時代までに改変された可能性もある物語だが、漢文によって書かれた原文はもとより、これ以前のものが現存しないことから、一般にこれを基本のテキストとして考えるのが一般的である。だから、高畑監督の『かぐや姫の物語』
![『かぐや姫の物語』アニメに反逆する、おんな【レビュー下巻】](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8a6e8fad9dd5214d39264cef495a7835c93c80c0/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fk-onodera.net%2Fwp-content%2Fuploads%2Fkaguyahime04.png)