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東海道新幹線京都駅の中央乗換口を出て、すぐ隣のエスカレーターを降りると、JR西日本の奈良線ホームである。主力のクロスシート車221系とともに、関東では姿を消しつつある国鉄型205系も出発を待っている。 JR奈良線は木津―京都間の通勤路線で、「みやこ路快速」が京都駅と奈良駅を44分で結ぶ。近年、利用が特に伸びた路線である。2019年度の輸送密度は2万9752人で、1987年度比で2.8倍となった。 沿線には東福寺、伏見稲荷、宇治、奈良と有名観光地が点在しており、観光シーズンになると、国内外の観光客で電車はすし詰めになる。 2023年3月に複線化第2期事業が竣工して1年。関西でも影の薄い存在だったJR奈良線は、どのように変貌しているのだろうか。
『花束みたいな恋をした』は、ファミレスの物語だ。坂元裕二が脚本を書き、2021年に公開された同作は、主人公2人の甘く、苦いラブストーリー。それは、ファミレスでの告白からはじまり、ファミレスでの別れ話で終わる。 ちなみに筆者はこうした「ファミレスでだらだらするシーン」が出てくる物語を「ファミレス文学」と呼んでいるが、本作は「ファミレス文学」の代表格といえるだろう。 学生が社会人になっていくときの心の動き、そしてある種の「子どもだった自分たちへのノスタルジー」を多分に含んだ本作は、深夜のファミレスで過ごした時間が、どこか夢のような、幻のような空間だったことも表している。ファミレスで、恋人とだらだら話した時間は、もう戻ってこない。本作を見終えたあとに感じるのは、そんな気分だ。 そして、現実に、そんな「だらだらできたファミレス」は過去のものになっているのかもしれない。 苦境に立たされるファミレス
ロバート・ダウニー・Jr.とエマ・ストーンの振る舞いは、人種差別か。オスカー授賞式以来、その話題が日本のメディアを騒がせている。 「日本のメディア」とあえて書いたのは、お膝元のアメリカにおいてはあくまでソーシャルメディア上における騒ぎであり、メジャーな新聞や業界サイトはほとんど取り上げていないからだ。それはなぜか。とりあえずは、授賞式を見ていない人のためにも、あらためて何が起きたのかをここで振り返ってみよう。 恒例のハグをしなかった まずは、授賞式が始まって比較的すぐだった助演男優部門の発表。今年、授賞式のプロデューサーは、演技部門に関して、過去に同部門を受賞した5人をプレゼンターとして舞台に立たせた。2009年に試したスタイルを久々に復活させたものだ。 封筒を開け、受賞者にオスカー像を手渡すのは、昨年の受賞者の役目。助演男優部門の昨年の受賞者は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アッ
東海道新幹線はこの数年で大きく変化した。 車両をN700A、N700Sに変更したことによるスピードアップ、信号システムの変更による「のぞみ」の増発と、利用者にとってプラスとなる変化もあった。だが、マイナスとなる変化も起こっている。 喫煙ルームが廃止へ まずは、コロナ禍の影響による売店の廃止だ。「のぞみ」が停車する東京、新横浜、名古屋、京都、新大阪のホームには、「当面の間休業」の札が貼られた売店がある。品川、三河安城、岐阜羽島のホームはドリンクの自動販売機売店が設置されているだけで売店はない。 次にワゴンによる車内販売サービスの廃止だ。2023年10月31日、「のぞみ」「ひかり」の車内ワゴン販売サービスが終了(「こだま」は2012年に終了)、現在は「のぞみ」「ひかり」のグリーン車の乗客を対象に、スマートフォンで飲み物や食べ物を注文、パーサーが注文品を届ける「モバイルオーダーサービス」を実施し
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「おじさんはモテる」は、妄想であり勘違い アラフィフの中年男性が15歳も、20歳も年下の女性にアプローチして、女性から心からあきれられ、気持ち悪がられる風景を日常的に目撃します。筆者の個人的な視界の範疇でも日常的に見かけるので、未婚男性が集まる結婚相談所では「おじさんが若い女子を狙う問題」は、産業を揺るがす大問題となっているようです。 若い女性の尻を追いまわしている中年男性たちは、「おじさんはモテる」「経験を重ねた年上男は、頼りがいがある」「島耕作を見てみろ」と、本気で思っています。冒頭から申し訳ないですが、アナタのその意識は妄想であり、勘違いです。 アナタの理想や妄想と、現実には大きなズレがあります。 残念ながら「おじさんは若い世代から尊敬されている」「知識と経験がある年上男性がモテる」というのはアナタが思い込んでいるだけです。では、試しに婚活アプリに登録して、理想の20代女性に「いいね
昭和の頃からいまだ抜本的解決策が見いだせない赤字ローカル線問題。近年は「人口減少」を理由として、半ば諦めムードの世論形成の末に、廃線への道を突き進むケースがほとんどである。筆者もこれなら廃線も仕方がない、そう信じていた。 ところが、その赤字ローカル線、本当に人口減少が原因なのかと首をかしげるようなデータを入手した。それによれば「人口減少率が低い・または人口が微増しているにもかかわらず、鉄道利用者が最大半減になっている線区がある」あるいは「鉄道利用減少率が人口減少率の2倍・3倍の線区がある」という事実がある。 人口減より急速に進む利用者減 これが本当ならば、人口減少のみがローカル線衰退の原因ではなく、鉄道事業者の無策・愚策がローカル線衰退の一助になっていたり、むしろローカル線を衰退させて沿線人口減少にもつながっていたりすることもありえるのではないだろうか。 これから挙げる4線区の例は、200
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韓国の朴振外相が3月6日、戦時中の元徴用工問題を解決するための計画を発表したことは、リーダーシップと戦略的決断力の賜物であろう。しかし、この”勝利”は、岸田文雄首相と同政権が示した臆病さ、政治的慎重さとは対照的に、韓国と尹錫悦大統領の政府によるものであったことはほぼ間違いない。 報道では、日韓関係を過去数十年で最悪のレベルにまで悪化させたこの深い対立を解決するために、韓国と日本が「合意」したと説明されている。とはいえ実際には、戦時中に日本の鉱山や工場で強制労働させられた生存者に対し、韓国政府が一方的に補償を行うと宣言したものであり、日本側の参加は一切見えない。 日本政府との関係を正常化するという深い信念 韓国外相の発言は、日本との関係を正常化し、改善することが不可欠であるという尹政府の深い信念を反映している。昨年春に当選した尹氏が掲げたこの目標は、ウクライナ戦争や北朝鮮の攻撃的な姿勢に端を
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山手線のルーツは私鉄の日本鉄道が品川―赤羽間に建設した品川線で、1885年に開業した。建設の目的は官設鉄道の東海道本線と、1884年には上野から前橋(仮駅)まで開業していた日本鉄道との連絡である。絹の生糸を中心とする群馬県の物産品を横浜港まで鉄道だけで運べるようにするためであった。 池袋駅はなかった 当時の品川線沿線はほぼ純農村地帯であり、工事自体は容易であったと思われるが、沿線住民の利用は当てにされていなかったであろう。開業と同時に設置された駅は渋谷、新宿、板橋の3駅のみ。現在の巨大ターミナル、巨大繁華街からは想像もつかないが、池袋駅はなかったのだ。 3駅に半月遅れて目黒、目白の両駅も開業。そこで駅設置は、いったん終わる。池袋に駅ができたのは、豊島線の建設と深い関わりがある。この鉄道はやはり日本鉄道が建設した、田端から延びる現在の常磐線と品川線を連絡する目的で計画された。当初、分岐点は目
静岡県の川勝平太知事は2023年1月11日の会見で、「夏までにリニア開業後の東海道新幹線の停車頻度増加をシミュレーションさせる」という岸田首相の発言を逆手に取り、近く、官邸に意見書を送ることを明らかにした。岸田首相に直接、説明するために面会を求める意向も示した。 川勝知事にかかれば、相手を挑発させて「リニア議論」を長引かせるための意見書となり、リニア開業に向けてさらなるダメージを与えることになる。 官邸だけでなく、国土交通省、JR東海へ送り続けている膨大な数の意見書を見れば、「公益」に反してリニア計画を遅らせる傲岸不遜な川勝知事の正体がわかるはずだ。その現状を理解したうえで、岸田首相は行動に出るべきだった。 川勝知事に対抗できるのは、選良による「政治の力」しかないのだが――。 川勝知事に機会を与えただけ 岸田首相は1月4日の会見で、リニアの全線開業に向けて大きな一歩を踏み出す年にしたいと、
退職金は年々減少の一途をたどっている。その他にこれから訪れる「3つの苦難」とは?(グラフ出所:厚生労働省「就労条件総合調査」退職給付(一時金・年金)の支給実態) 最近、50代のホワイトカラーのサラリーマン、特に1971~1974年生まれである「団塊ジュニア世代」についての「悲惨な末路」についての記事がとても多くなっています。 「給料が上がらない」から始まって、「会社に居場所がない」とか「転職できない」とか「年金、老後の資金がやばい」、そしてきわめつきは「そもそも仕事のやる気が出ない」。これでもかと団塊ジュニア世代の悲惨な行く末の話が出てきます。 こんな風潮は、著者である私たちもまったく他人事ではありません。というのも私たちは団塊ジュニア世代ど真ん中だからです。私たちの世代は、振り返れば人生の節目節目で受験戦争、就職氷河期、景気低迷と、不運に見舞われ続けた「悲劇の世代」なのです。 ただし状況
遅刻やミス、対応の拙さや不倫などの自分の〝非〟は棚に上げて、相手の落ち度を責める人は、自分が悪いとは思わない。それどころか、むしろ自分は被害者という認識を持っていることも少なくない。このように被害者意識が強い人のなかには、〈例外者〉と呼ばれるタイプもいる。 〈例外者〉とは、フロイトによれば、自分には「例外」を要求する権利があるという思いが確信にまで強まっているタイプである(ジークムント・フロイト「精神分析の作業で確認された二、三の性格類型」)。その根底には、「不公正に不利益をこうむったのだから、自分には特権が与えられてしかるべきだ」という思い込みが潜んでいることが多い。 もちろん、フロイトの炯眼(けいがん)が見抜いたように、「人間が誰でも、自分はそのような『例外』だと思い込みたがること、そして他人と違う特権を認められたがるものであることには疑問の余地がない」(同論文)。 誰だって、レストラ
拡充される防衛費の財源を巡って、自由民主党内で議論が白熱している。 例えば、西田昌司参議院議員は、財源は、国債の発行でよいと主張している。 これに対して、稲田朋美衆院議員は「防衛費の抜本的強化が必要だとすれば、それをすべて国債、また安定しない財源に頼るというのは非常に私は無責任だという考えです」と述べ、増税を容認している。 西田議員と稲田議員といずれが正しいのか、検証してみよう。 大勢順応的で閉鎖的かつ反知性的な姿勢 ちなみに、西田議員は、MMT(現代貨幣理論)の影響を受けていることで知られている。確かに、MMTによれば、政府支出を増やすのに増税は必要ではないということになる。 もっとも、「MMT」と聞いただけで眉をひそめ、耳をふさぐ経済学者や政治家があとを絶たない。 MMTが、主流派経済学から異端視されているのは事実である。しかし、MMTは、クナップ、ケインズ、シュンペーター、ラーナーら
でも、もしそんなことをしたら大変なことになります。一帯が暑くなって、巨大な上昇気流が起こる。これは煙突みたいなものです。竜巻のような嵐が出てくるのは当然なんです。こんなことをしたら地球環境がむちゃくちゃになってしまいます。 さらに、メガソーラーを導入してしまうと、その建設地にいた小さな虫がいなくなってしまうという問題もあります。『絶滅危惧の地味な虫たち』(小松貴著、筑摩書房)を読むと、メガソーラーの普及により、絶滅の恐れがあるメクラチビゴミムシの生息地が失われていることがわかりました。 彼の言い分では、保護されているのはきれいなチョウや大型の甲虫などばかりで、小さくて地味な虫は保護されていない。だからこのような「絶滅危惧種を保護しよう」などという運動は、「人間にとって」きれいなものだけが対象ではないかと怒っているわけです。確かにそのとおりです。目に見えないようなものは保護されていないのです
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読者もご承知の通り、岸田内閣の支持率はここのところ下落傾向にあり、多くの調査で内閣の支持率を不支持率が大きく上回る結果が出ている。 11月11日〜13日に行われたNHKの世論調査では支持が33%、不支持が46%で、不支持率が前月と同様に支持率を上回っていて、しかもその差が5%から13%に拡大した。日付けがもう少し新しい(11月19~20日)ANNの調査でも支持率が30.5%、不支持率が44.7%と同様の傾向だ。 内閣そのものを見ても、10月24日に山際大志郎経済再生担当大臣、11月11日に葉梨康弘法務大臣、11月20日に寺田稔総務大臣、と相次いで閣僚が辞任しており、任命そのものについても、辞任に至る経緯についても、岸田文雄首相が批判の的になっている。 日本の政治が満足に機能しない原因はおそらく複合的で、本稿ではすべてを取り上げるわけにはいかない。おそらくは、「第2次世界大戦での戦争の負け方
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