政府でさえも簡単には中止させられない理由。その一つが、IOC=国際オリンピック委員会とJOC=日本オリンピック委員会、そして東京都の間で結ばれた「開催都市契約」(2013年9月7日締結)にある。「開催・中止の判断はIOCが行う」と明記されており、JOCや東京都、日本政府には決定権が無いからだ。 ただ、「契約締結日に予見できなかった不当な困難が生じた場合、組織委は合理的な変更を考慮するようIOCに要求できる」(第71条)との条項もある。世界的なコロナ禍は、まさに“予測できない、または不当な困難”ではないのだろうか。スポーツ分野の国際的な契約に詳しい、弁護士で立教大学教授の早川吉尚氏は次のように説明する。 「そもそもオリンピックというのは、IOCというスイスの法人が4年に1回、夏に開催しているスポーツイベントだ。その会場を貸したい都市が手を挙げ、契約を結んだものが開催都市契約だ。したがって中止