ブックマーク / newsweekjapan.jp (14)

  • 繰り返すダルフールの悲劇

    国連・アフリカ連合合同活動(UNAMID)の報告によると、スーダン西部ダルフール地方で5月に殺された犠牲者の数は約600人。07年に国連が介入して以降、最大の数字だが、なぜかあまり注目されていない。世界はダルフールへの関心を失ったのか。 反政府組織「正義と平等運動」(JEM)は最近、政府軍の兵士35人を拘束した(6月9日に解放)。今年4月に行われた大統領選挙と総選挙を前に、政府とJEMの間では2月、和平に向けた枠組み合意が結ばれ、停戦が期待された。だが、5月にJEMが和平交渉を打ち切ってから戦闘はむしろ激化していると、英BBCは報道している。 人道危機は深刻で、「紛争地域への支援が圧倒的に不足している」と、国連の報告は警告している。国連の推定では03年以降、ダルフール紛争による同地域での死者は30万人に上り、260万人の難民が発生している。犠牲者数が増加した程度では誰も驚かなくなってしまっ

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    Baatarism 2010/06/18
  • ありもしないインフレの亡霊を振り払え

    相変わらずアメリカではインフレを懸念する声が根強いが、実際にデータを見てみても心配すべき兆候は見当たらない お願いだから、少しの間インフレの心配はやめてもらえないだろうか。ほんの数カ月でもいい。 08年の金融危機以降続いてきたFRB(米連邦準備理事会)の資金供給の拡大や事実上のゼロ金利政策、そしてアメリカ政府の大規模な景気刺激策(と赤字財政)は、ある深刻な懸念を招いてきた。これらの政策は経済の鉄則により、通貨の下落や政府の長期借り入れコストの増大、そしてインフレを引き起こすのではないかという懸念だ。 だが実際は金相場という例外を除くほぼ全ての指標で、インフレ率やインフレ期待は08年秋からほとんど上昇していない。アメリカ経済が再び成長に転じた後もその傾向は変わらない。データはむしろ、デフレの方向を指し示している。少なくともインフレ的なところはどこにもない。 米労働統計局が先週発表した統計によ

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    Baatarism 2010/05/26
  • タイ動乱は「内戦」に発展するか

    怒りに燃えて 落書きされたアピシット首相の肖像画の前で抗議運動を展開する赤シャツ隊(4月25日) Sukree Sukplang-Reuters バンコク市内にある人気カフェチェーン「オーボンパン」の外で、数百人のタイ人が敵にヤジを飛ばしている。彼らが憎しみをぶつけるのは、混雑する大通りと、竹と古タイヤで作られた防護壁を越えた先──現政権の退陣を求める「赤シャツ隊」の野営地だ。田舎者を指す「水牛」と「オオトカゲ」の意のタイ語を連呼するのは、農村出身者が多い赤シャツ隊を侮辱するためだ。 一方、反対陣営では、赤シャツ姿の男たちが竹の防護壁の隙間から敵の様子を伺い、安いタバコを吸い、木製の棒を握りしめて悪態をついている。 これが、政治的に分断されたタイの現状だ。貧しい「庶民」が集まる赤シャツ隊と、社会の上層部が多い政府支持派の対立はあまりに根深く、タイのメディアや国会議員、学者らの間では内戦への

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    Baatarism 2010/04/27
  • オバマの「日本冷遇」は誰も責めない

    ジョン・ボルトン元国連大使らの米保守派が外交政策で執拗に批判しているのは、バラク・オバマ大統領がアメリカと対立している国より同盟国に冷たい、ということだ。 彼らに言わせれば、オバマはイランよりイスラエルに冷たいし、中国よりもインド、ロシアよりも東欧諸国に冷たいという。 そうした批判の多くは誇張されている。どう考えても、アメリカがイスラエルよりイランを厚遇しているなどと言えるはずがない。オバマの現実主義的な外交戦略が具体化してきたために不満が湧き出た面もあるだろう。 それでも、私がすぐに3つの例を思いつけたのは、保守派の言い分にも一理あるからだろう。面白いのは、オバマが冷遇している同盟国の例として誰も日を挙げないことだ。 ちょっと驚きだ。日は先に挙げたどの国より古い同盟国で、極めて重要な国なのだから。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、最近の日米関係は問題だらけで危機にさらされ

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    Baatarism 2010/04/23
  • ネオコンに成り下がったクルーグマン

    ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンは、どうやら新保守主義者(ネオコン)と運命を共にするらしい。厄介な国際問題に直面すると国際機関の役割を軽視し、けんか腰の単独主義を取りたがるあのネオコンだ。 14日付けのニューヨークタイムズ紙に掲載されたクルーグマンのコラムは、またも中国の為替操作に関するものだった。世界経済における中国の影響力は一般に思われているよりも小さいと述べたうえで、コラムをこう締めくくっている。 1971年にアメリカが同様の(今の中国ほどひどくはないが)ドル高に直面したときは、外国からの輸入品に10%の輸入課徴金を賦課して対応した。この課徴金は、ドイツや日などの国々が対ドル為替レートを切り上げる通貨調整を実施したことで数カ月後に撤廃された。現時点で、同様の通貨調整を受ける脅威がなければ中国が通貨政策を変えることは考えにくい。ただし今回の場合、課徴金は25%程度になるだろう

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    Baatarism 2010/03/29
  • 中国人が「アバター」を見られるのは、沖縄の海兵隊のおかげなのか?

    先週行われた鳩山首相の所信表明演説で、沖縄を含むアジア情勢に言及する際に「抑止力」という文言を入れるかどうかが連立与党の間で問題になったそうです。結果的に社民党の福島党首が押し切る形でこの「抑止力」という言葉は削除されました。では、ここで言う「抑止力」とは何なのでしょうか? 同じ週にアメリカのルース駐日大使は「沖縄海兵隊の存在意義」について北朝鮮情勢に対応するためだということを述べています。「抑止力」とはそういう意味なのでしょうか? ルース大使の発言は中国に遠慮したフィクションだと思います。北朝鮮の動揺に対して沖縄の海兵隊を急派することは重要ではありません。38度線が動揺した場合は在韓国連軍が韓国軍と共に対応します。北の鴨緑江が動揺した場合は、中国軍が対応するのが当然で、これをアメリカも支持する立場のはずです。北朝鮮の国内が激しく動揺した場合も、アメリカ中国韓国と協調して対応することに

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    Baatarism 2010/02/01
  • 「夢想家」首相、普天間の迷走

    民主党主導の鳩山政権が誕生しておよそ100日。新政権は、対米政策、とりわけ沖縄の米海兵隊普天間飛行場の移設問題への対応で激しい批判を浴びている。 この問題で鳩山政権に誤算があったことは間違いなさそうだ。鳩山由紀夫首相は、バラク・オバマ米大統領と率直に話し合えば問題を解決できると楽観していたふしがある(コペンハーゲンの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議に出席する際に、オバマと首脳会談を行いたいと望んだことに、その発想が見て取れる)。 ひとことで言えば、鳩山が望んでいるのは、小泉純一郎元首相とジョージ・W・ブッシュ前大統領の関係と対照的な関係をオバマと築くことらしい。 小泉とブッシュの関係は、日の対米依存を強め、その結果として、遠く離れた国でのアメリカ戦争を日が支持する状況をもたらした。鳩山はそれと一線を画し、オバマとの相互の信頼関係を通じて、安全保障以外の分野での協力を重んじる「

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    Baatarism 2009/12/17
  • 習近平副主席の「謎」を解く手紙

    ミステリーな男 ポスト胡錦涛と言われる習近平の実像はまだ霧の中(2009年10月、フランクフルト) Johannes Eisele-Reuters 中国の習近平(シー・チンピン)・国家副主席は胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席の最有力後継者だが、なぜか今年9月の共産党の会議でその登竜門とされる中央軍事委員会副主席に選ばれなかった。世界のチャイナウォッチャーの間に中国政治の奥の院、中南海で権力闘争が始まったとの憶測が広がっていたが、その謎を解くカギが明らかになった。 中国軍と近いとされる香港誌「鏡報」が最新の12月号で、習が9月の会議の前に「しばらく軍事委副主席に就任したくない」と求める手紙を胡あてに出していた、と報じた。習は「自分は党中央で働いた時間がまだ短く、経験も浅い」「(軍事委員会主席でもある胡錦涛が)軍の内部で高めた権威をまだ揺るがせたくない」といった理由を挙げたという。 中国政治

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    Baatarism 2009/12/16
  • 北のデノミは暴動の導火線 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    我慢も限界? 人々が旧紙幣で貯めこんでいた「たんす預金」が紙切れ同然に Jo Yong hak-Reuters 私の職場の上司であり、米政府の北朝鮮政策を統括するスティーブン・ボズワース特別代表が12月8日、平壌入りした。いい機会なので、北朝鮮政府が国民に慕われようとはしていないことをここで指摘しておきたい。 そんなことは知っている? では、別の言い方をしよう。北朝鮮政府は最近、これまで以上に国民を無視した振る舞いをしている。 問題は、11月30日に実施した通貨ウォンのデノミネーション(通貨単位の切り下げ)による新通貨の導入だ。国民は旧紙幣を新紙幣に交換しなくてはならないうえに、一人当たりの交換金額に制限がある。 目的は2つある。一つは、ウォンのゼロをいくつか切り下げること。もう一つは、中国との国境沿いで旧紙幣を貯めこんでいる貿易業者を一掃することだ。 AFP通信は、北朝鮮政府がついに国民

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    Baatarism 2009/12/13
  • ゲーツが普天間移設で譲れなかった理由

    対米関係の見直しも容認しながら、格下に対する圧力を併用する──ゲーツ米国防長官の訪日で見えたオバマ政権の対日姿勢 長年、日政治の脇役だった民主党がついに政権与党の座を獲得したのは9月のこと。それがアメリカにとって何を意味するのか、ワシントンのジャパン・ウォッチャーたちは考えあぐねてきた。鳩山新首相は過剰に中国へ接近するのか、アフガニスタンでの戦争のようなアメリカ外交の重要政策に積極的に協力しなくなるのか。 20日に訪日したロバート・ゲーツ米国防長官は、鳩山政権に対するオバマ政権の考え方を探るうえでのヒントを提供してくれた。それはアメリカが格下の同盟国に取ってきた圧力という伝統的なアプローチと、対米関係の見直し容認という新しいアプローチの組み合わせだ。 オバマ政権としては、まずは新政権の様子を見たいというのが音だろう。なにしろ第2次大戦以降、自民党以外の政党が政権を握るのは2度目に過ぎな

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    Baatarism 2009/10/24
  • 鳩山政権「亀井外し」が始まった

    総理大臣に就任して2週間が経ち、鳩山由紀夫は重要な教訓を学んだはずだ。重要な政策課題は自分で提起しなければ、ほかの誰かがやってしまうということだ。 鳩山政権で重要施策を打ち出したのは、亀井静香郵政改革・金融担当大臣だった。鳩山政権の課題は山ほどあるが、亀井が提唱する零細・中小企業への返済猶予(モラトリアム)が、優先課題のトップに浮上したのは明らかだ。 9月28日、与党の党首級閣僚が出席した基政策閣僚委員会の初会合の後、亀井は鳩山が自分と「同じ意見」だったと述べた。さらに、この計画は私案ではなく、連立政権発足前の三党合意に基づいていると主張した。 鳩山は、モラトリアム計画が三党合意に含まれていたことは否定したが、中小企業の資金繰り対策に取り組むことは認めた。また、元と利子の支払いを猶予する亀井案に対して、元の支払いのみを猶予する法案を検討すると示唆した(実際、鳩山は衆院選前の地方遊説で

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    Baatarism 2009/10/03
  • ついに逮捕者を出した「日米の親権争い」、ヒラリーはどう出てくる?

    このブログで以前にお話した日米での親権争いですが、遂に今週は逮捕者を出すという事態となりました。まず改めて背景をお話しておきましょう。世界中で国際結婚が増加する中、国際間の結婚が不幸にも破綻した場合に、親権を決め、親権のない方の親の面会権を保障し、養育費の支払いに強制力を働かせなくてはなりません。その場合に、子供の人権を守るために国境を越えて関係国が協力して、離婚調停の結果を履行させるために「ハーグ条約」というものがあり、多くの国がこれを批准しています。 ところが日はこの条約を批准していません。理由は明白で、日の民法では両親が離婚した際に、(1)子供が双方の親を行き来する共同親権制度がない、(2)親権のない方の親の面会権が保障されていない、(3)養育費の支払いについて「差し押さえ」などの法的な強制力がない、という制度となっており、ハーグ条約の前提を全く満たしていないからです。これに加え

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    Baatarism 2009/09/30
  • 世界で最も危険な韓国人、潘基文

    歴史的にレベルの低い国連事務総長のなかでも際立って無能。核拡散の脅威や難民危機にも関心を示さない潘のおかげで、国連はあってもなくても関係ない存在に堕ちた 見た目にはきわめて重要なポストでありながら、歴代の国連事務総長はどちらかと言うと大した実績を上げてこなかった。 アメリカの国連大使だったダニエル・パトリック・モイニハンは、自身の回顧録「危険な場所」のなかで、70年代に事務総長を務めたオーストリア人のクルト・ワルトハイムをこう評している。彼は「郵便局」のようだった。「やや古臭いが、オーストリア・ハンガリー風にそこそこ効率的な経営がされていた。誰かと向き合うと、世間話をしながら心のなかでは郵便の仕分けをしているような男だ」 ブトロス・ブトロス・ガリ元事務総長はどうか。90年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争でセルビア人勢力が破壊の限りを尽くしているとき、彼は傲慢さと無責任さを発揮。クリントン米

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    Baatarism 2009/06/24
  • NYタイムズ「非営利化」狙う投資家

    アメリカの宝 名門紙ニューヨーク・タイムズも広告と読者をネットに奪われて経営難に Gary Hershorn-Reuters 66歳のデービッド・ゲフィンは、推定45億ドルの資産をもち、フォーブス誌の世界長者番付にランクインする大富豪だ。 ハリウッドの重鎮で投資の天才でもあるゲフィンは、アートと投資の世界で巨額の富を稼ぎ出してきた。 もっとも、ゲフィンの富の基盤は今もメディア業界にある。ジョニ・ミッチェルやイーグルスの名曲をプロデュースし、スティーブン・スピルバーグらと共同で映画会社ドリームワークスSKGを立ち上げるなど、ゲフィンはメディア業界で輝かしい業績を積み重ねてきた。 そのゲフィンが、今度はニューヨーク・タイムズ紙に目をつけた。2年前にはロサンゼルス・タイムズ紙の買収に失敗しているというのに、絶滅寸前といわれる新聞業界を自身のポートフォリオに組み込もうと躍起になっているのはなぜか。

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    Baatarism 2009/05/17
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