グローバル立憲主義がトレンディである*1。地球全体を立憲主義の諸原則によって規律される世界として捉えるべきだ、あるいはそうした世界の実現を目指すべきだとする議論である。 気候変動、テロリズム、疫病の蔓延、大量の難民・移民等の問題は、各国の国境を超える広がりを見せており、超国家的な解決を必要とする。そうした解決を与える機構は、立憲主義の諸原則に沿って組織され、運営されるべきだというわけである。 そこで言われる立憲主義の諸原則とは、法の支配、権力の分立・均衡、人権の保障、人民の憲法制定権力であり、古典的な立憲主義、つまり近代立憲主義と変わらない。一国単位の近代立憲主義を国際社会へと外挿し、立憲主義の諸原則によって規律される世界の構築を目指す議論、それがクローバル立憲主義である。一見したところ、素晴らしい話のように見える。 * とはいえ、グローバル立憲主義という概念には、相当の違和感があると言わ