「周りから見れば、パン屋が寿司を売り始めたようなものかもしれない」 2014年、セイノーホールディングス社長の田口義隆は企業向け金融サービス「セイノーフィナンシャル」の立ち上げを発表し、業界内外を驚かせた。「一運送会社がなぜ銀行業を?」と尋ねると、田口は「よく聞かれます」と微笑んだ。 「金融工学に基づいた設備投資等の大規模な融資は、銀行にしかできない。けれども、我々は物流業を通して、お客様のお取引の状況を肌で感じることができる。その情報を基に与信審査をすれば、取引先に対して小回りの利く融資が可能になる。我々にとっての金融は、勝負どころで銀行からお金を借りられずに困っていたお客様の、さらなる成長に寄り添うための手段なんです」 一見、突拍子もなく見える施策も、その行動原理は「物流に縁があり、顧客の繁栄に繋がるかどうか」で統一されている。会社の姿勢として掲げる「ノーと言わないセイノー」は、単なる