この記事はCINRAが運営するPodcast番組『聞くCINRA』で配信したエピソードの内容を編集しています。ノーカット版のインタビューもぜひPodcastでお楽しみください。 ―『スメラミシング』は6編の短編が収録されており、すべて宗教や信仰がテーマになっています。なぜこのテーマを選んだのでしょうか? 小川:もともと、小説の原点は聖書にあるんじゃないかという考えがあって、最初に収録されている『七十人の翻訳者たち』という作品を書きました。 そもそも、なぜ人は他者に対して何かを話したり、語りかけたりするんだろうと考えたとき、そこには宗教という存在があり、自分が信じるものを他人に伝えて、信じさせるために魅力的なお話をつくるんじゃないかと思ったんです。 宗教とか神様について考えることは、根源的に人間の欲望に内蔵されているもので、それについて考えることは、小説について考えることにもつながるだろうと