書店の平積みでこのタイトルを見かけて、少し考え込んだ。《「バカ」を一撃で倒す》という部分にである。 何を考えたかというと、《「バカ」を一撃で倒す》というのは無理だろ、ということだ。「バカ」というのは、強靭なものなのだ。とても一撃では倒せない。倒せるなら、こんなに世の中にはびこっていない……。いやいや、そもそも「バカ」の定義はなんだ? 何をもってバカというのか不明瞭のままの議論こそバカな議論の典型ではないか云々。これは、でも、本書について言えば、帰納的に考えてもいいのかもしれない。つまり、一撃とやらで倒される・論破されている相手が、本書にとってのバカである。というわけで、世の中のバカすべてというわけでもないのだろう、たぶん。 読みやすい本である。というか、うーむ、これなら、バカでも読めるなあという印象。ルター95か条の論題の半分以下の44の論題が取り上げられている。例えば。 最低賃金が上がれ