レトロ車両、週末だけ現役 全国で2番目に短い「紀州鉄道」。全長2・7キロに五つの駅が並ぶ。その発着点である和歌山県御坊(ごぼう)市のJR御坊駅0番線にクリーム色に緑の車体がとまっていた。ディーゼルカー「キハ603」。 車両に乗り込んだ。板張りの床に白熱灯。木造校舎だった小学校の教室を思い出す。油のにおいが鼻をかすめる。座席に腰を下ろすと、1両しかない車両が「ゴオーッ」と低い音を立てて、ゆっくりと動き出した。足の裏からはエンジンの振動が伝わってくる。 キハ603は1960年生まれ。大分交通から譲り受け、76年から紀州鉄道で運行している。今は金、土、日曜の3日間、1日26往復している。この古さで現役の車両は珍しいという。残り4日間は85年製造のレールバスが、通勤や通学などで利用する市民らを乗せている。 窓からは田んぼやビニールハウスが見える。のどかだな、と思っていると4分後、学門駅に着いた。さ