ブックマーク / honz.jp (8)

  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
    Cichla
    Cichla 2022/06/27
  • これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ

    ロンドンの王立学院に通う20歳の音大生が、あの大英自然史博物館から、死んだ鳥の羽を盗んだ――なぜ、前途有望な若者が300羽近い鳥の美しい羽根を? 世にも不可思議な盗難事件の顛末を追った犯罪ルポ。ページをめくる手が止まらない、思いがけない快作登場! 世界でも有数の音楽院にアメリカから入学したフルート奏者。裕福で、整った品のいい顔立ちの20歳の青年。その青年が、世界に冠たる大英自然史博物館の分館に、夜間に忍び込み、約300羽分の鳥の羽を盗んでスーツケースに詰め込み、誰に追われることもなく電車に乗って帰宅した。 これが事件の顛末だ。 ニューヨーク、マンハッタンから、10歳の頃、北方200キロの街に移り住んだエドウィン・リストは、家の中で勉強したりフルートを演奏したり、弟と遊んだりするのが好きだった。両親はアイビーリーグ大卒で、フリーランスで執筆業に携わり、子供たちに自宅教育(ホームスクーリング、

    これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ
    Cichla
    Cichla 2019/09/17
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
    Cichla
    Cichla 2018/06/14
    進化生物学も同様のアプローチで,従来の仮説がバンバン書き換わっている。統計学に基づく帰無仮説の棄却がベースで,帰無仮説の設定と統計モデルの構築に研究者のセンスが問われる。
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

    とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ
    Cichla
    Cichla 2017/09/08
    ムツゴロウさんの後継者がこんなところに!(歓喜)
  • 『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ

    書店内でいやでも目を引く、虫取り網をかまえこちらを凝視する全身緑色のバッタ男の表紙。キワモノ臭全開の書だが、この著者はれっきとした博士、それも、世界の第一線で活躍する「バッタ博士」である。書はバッタ博士こと前野ウルド浩太郎博士が人生を賭けてバッタのアフリカに乗り込み、そこで繰り広げた死闘を余すことなく綴った渾身の一冊だ。 「死闘」と書くと「また大袈裟な」と思われるかもしれない。だが著者が経験したのは、まぎれもない死闘だ。あやうく地雷の埋まった地帯に足を踏み入れそうになったり、夜中に砂漠の真ん中で迷子になったり、「刺されると死ぬことのある」サソリに実際に刺されたりと、デンジャーのオンパレードである。 なぜ、そこまでの危険を冒さねばならなかったのか。油田を掘り当てるためでも、埋蔵金を発掘するためでもない。そう。すべては「バッタのため」である。 昆虫学者に対する世間のイメージは「虫が好き

    『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ
    Cichla
    Cichla 2017/05/19
  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ

    外来種と言えば、琵琶湖の在来種を脅かすブルーギルやブラックバスが脳裏に浮かぶ。いかにして駆除するか、心ない放流をい止めるか。獰猛な外来種から琵琶湖の自然を守れ。確かにそうだと思う反面(因みに、僕は琵琶湖の外来種の駆除にはずっと賛成している)、何か心にひっかかるものをずっと感じていた。書は、この問題に正面から挑んだ力作である。 冒頭、南大西洋・アセンション島の蒼とした雲霧林(グリーン山)が紹介される。原始の状態が残っていると考えた著者の推測は完全にはずれた。ダーウィンが訪れたときは丸裸の島で人間が持ち込んだ外来種が島を緑に変えたのである。 孤島の生態系は外来種の絶好のカモだという思い込みには根強いものがあるが、島嶼グループを対象にした調査では在来種に重大な影響を及ぼしたものはほんのひと握りで、ほとんどの外来種は多様性を高め生態系を豊かにしていたのである。著者は、オーストラリア、ヴィクト

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ
    Cichla
    Cichla 2016/10/03
    外来種持込は影響の予測が困難で現状復帰不可能だから原則禁止で異論はほぼない。既存外来種の駆除は「多様性の維持のために永続的なコストを払う意志はあるか」という政治経済的問題で合意を得るのは極めて困難
  • ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』 - HONZ

    「ヒラノ教授、あんたの時代はよかった」。工学部ヒラノ教授シリーズを読んだ現役教授たちは、私とおなじようにつぶやくだろう。ご人は、どこがよかったのか、とおっしゃるかもしれない。しかし、20年ほど前、いろいろと不自由や不条理はあったけれど、国立大学はゆるくてのどかな場所だった。 このでは、その時代にヒラノ教授が(たぶんやむなく)手を染められた不正行為が大胆に開陳されている。しかし、窃盗罪や詐欺罪でも時効は7年。東京工業大学を停年で辞されてから10年以上になるヒラノ教授、いまさら咎められることもありますまい。それに、20年ほど前は、やったらダメとわかっていても、いかんともしがたい事情が多々あった。 某省の研究費など、どういう理由かは知らないが、毎年2月にならないと振り込まれなかった。単年度決済なのだから、3月の中旬までに使い切る必要があるにもかかわらず、である。もちろん計画は一年かけて遂行す

    ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』 - HONZ
    Cichla
    Cichla 2014/12/22
    コンプライアンスを遵守した上で愚痴を吐く教授と,がん無視しながら愚痴を吐く教授が無秩序に入り乱れてるのが大学のおっかないところ。真面目な方に合わせれば不正し放題,ダメな方に合わせれば研究が二の次に……
  • バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド - HONZ

    みなさま、正月三が日も終わろうとしておりますけれど、今年もサイエンス通信をどうぞよろしくお願い申し上げます。 できるだけ幅広い分野から話題を選びたいと思っているのですが、あらためてそういう目で眺めてみると、『ニューヨーカー』のサイエンス記事って、バイオ&メディカルな話題が強いですねぇ。数学や物理学の記事は、それに比べるとガクンと少なくなります。まあ、それも当然でしょうかねぇ。社会生活に及ぼす影響という点では、バイオ&メディカルは大きいですからねぇ。 でも、私たちの暮らしへの直接的・短期的な影響の大きさや、狭い意味でのサイエンスに閉じずに、言語や文化歴史にもつながるような少し広めの間口で、今年も面白い話題をご紹介していきたいと思っています。 とは言いながら、今回もバイオな話題です……。 バイオエレクトロニクスの分野は、まさしく日進月歩ですね。攻殻機動隊の舞台となっている近未来が、じりじりと

    バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド - HONZ
    Cichla
    Cichla 2014/01/17
    『私たちの身体はもともと電気的だという事実です。(基礎物理学的な観点から言えば、私たちの体内で起こっている反応は、自然界の四つの力のうち~電磁相互作用に支配されているということですね。)』
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