タグ

ブックマーク / blog.tatsuru.com (337)

  • 敗北主義について - 内田樹の研究室

    ある地方紙に月一でエッセイを書いている。これは 5 月に書いたもの。 日替わりで行政の不祥事が報道されているので、この記事が新聞に出る頃に日の政局がどうなっているのか皆目見当もつかない。だが、どちらに転ぼうとも「行き着くところまで行く」という流れに変わりはないだろう。 「行き着くところまで行く」というのは、言い換えると「このままの方向に進むととんでもないことになるということがわかっていても、手をつかねて何もしない」ということである。「最悪の事態が到来するまで何もしない」というのは日人の宿痾である。 組織的危機の到来を警告する人間は日社会では嫌われる。 事故を起こした原発でも、コンプライアンス違反や法令違反を犯した企業でも、「こんなことを続けていると、いつかたいへんなことになる」ということを現場の人間は知っていたはずである。自分たちがやるべき手順を抜かし、守るべきルールを守らず、定めら

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/07/07
  • カジノについて - 内田樹の研究室

    ある地方紙に月一でエッセイを連載している。ふつうの人の目に留まらない記事なので、ブログに採録。 カジノ法案がもうすぐ採択されそうである。賛成派は観光客の増加、雇用の増大などの経済効果を語り、反対派は依存症対策の遅れや治安悪化の不安を語っている。とりあえず、カジノ誘致が決まれば、地元のゼネコンは当座の大きな仕事が発生するし、関連する業界もすぐに日銭が入ってくるので大歓迎だろう。依存症患者が出てきて社会問題になるにしても、治安が悪化するにしても、何年か先の話だ。「目先の銭金」と「先行きの懸念」ではためらわず「先のことは考えずに、目先の銭金を取る」というのが当今の官民あげての風儀である。衆寡敵せず、カジノは反対派を蹴散らしてめでたく建設されることになるだろう。 けれども、それでもいくつもの疑問には答えがないままである。第一の懸念材料は人々が期待するほどカジノは儲からないのではないかというカジノ専

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/06/14
  • カジノについて (内田樹の研究室)

    ある地方紙に月一でエッセイを連載している。今月はカジノについて書いた。 その地方の方以外はまず目に留まる機会がないと思うので採録。 カジノ法案がもうすぐ採択されそうである。 賛成派は観光客の増加、雇用の増大などの経済効果を語り、反対派は依存症対策の遅れや治安悪化の不安を語っている。とりあえず、カジノ誘致が決まれば、地元のゼネコンは当座の大きな仕事が発生するし、関連する業界もすぐに日銭が入ってくるので大歓迎だろう。依存症患者が出てきて社会問題になるにしても、治安が悪化するにしても、何年か先の話だ。「目先の銭金」と「先行きの懸念」ではためらわず「先のことは考えずに、目先の銭金を取る」というのが当今の官民あげての風儀である。衆寡敵せず、カジノは反対派を蹴散らしてめでたく建設されることになるだろう。 けれども、それでもいくつもの疑問には答えがないままである。 第一の懸念材料は人々が期待するほどカジ

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/06/09
  • 中国の若者たちよ、マルクスを読もう - 内田樹の研究室

    中国の新華社からメールで質問状が届いた。 中国でもマルクス生誕200年がにぎやかに祝われるようだけれど、その中で「マルクス再読」の機運が高まっている。その流れの中で石川先生との共著『若者よマルクスを読もう』も中国語訳が出て、ずいぶん売れている(らしい)。 質問状には6つの質問があった。僕の方はこんなお答えをした。 1.『若者よ、マルクスを読もう』が出版され以来、日ではベストセラーになり、中国でも大好評となり、愛読されています。その原因はどこにあるのでしょうか。なぜ資主義社会の日にはマルクス主義を愛読する人がこんなに多く存在しているのか、その原因は何だと思われますか。 日では、マルクスは政治綱領としてよりはむしろ「教養書」として読まれてきました。つまり、マルクスのテクストの価値を「マルクス主義」を名乗るもろもろの政治運動のもたらした歴史的な帰結から考量するのではなく、その論理のスピー

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/04/29
  • 『街場の憂国論』文庫版のためのあとがき - 内田樹の研究室

    文庫版のためのあとがき みなさん、こんにちは。内田樹です。 文庫版お買い上げ、ありがとうございます。お買い上げ前でこの頁を立ち読みしているかたにも「袖すり合ったご縁」ですので、ひとことご挨拶を申し上げます。できたら、この「あとがき」だけ読んでいってください。 この文章を書いているのは2018年の3月です。 少し前の頁にある「号外のためのまえがき」が時間的には収録されたものの中で一番新しいテクストですが、その日付は2013年12月10日です。ということは、それを書いてから今日まで4年半が経ったということです。 その間に何があったか。 巻末に僕が不安げに予測した通り、「現在の自民党政権は、彼らの支配体制を恒久化するシステムが合法的に、けっこう簡単に作り出せるということ」を特定秘密保護法案の採決を通じて学習しました。その結果、2014年夏には集団的自衛権行使容認の閣議決定があり、2015年夏には

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/04/04
  • 京都府知事選に寄せて - 内田樹の研究室

    4月1日日曜に、京都府知事選に出馬している福山和人候補の応援のために、京都に行った。 河原町三条でのスピーチを頼まれていたので、いちおう原稿を作っていった。 実際にしゃべった言葉づかいはだいぶ違うが、だいたい「こんなこと」を申し上げた。 京都のみなさん、こんにちは。 ご紹介頂きました、内田樹です。 僕は神戸市民なので、京都府政とは直接関係がないのですけれど、今回は福山和人候補に一言応援の言葉を送るために、こちらまで参りました。 僕は今回のこの京都府知事選は、ふだんの知事選とはずいぶん意味が違うものだと思っております。 どんな選挙でも、それがどのような歴史的文脈の中において起きているのかによって意味が変わってきます。 今回の選挙は、有権者が先月初めから大きく転換を遂げてきた現在の政治的状況に対して、投票を通じて意思表示をすることのできる最初の機会です。 みなさんご存知の通り、先月の2日、朝日

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/04/03
  • 憲法についての鼎談から - 内田樹の研究室

    2月に西宮で行った憲法をめぐる鼎談がブックレットになって刊行されることになった。 「予告編」として、その中のなかほどのところの内田の発言をあげておく。 内田 今、石川さんが政治が急速に劣化してきて、前近代的で破壊的で、軍事力信仰をするというタイプの政権ができてしまったと話されました。その通りだと思います。当に政治が劣化している。なぜ劣化したのか。小選挙区制のマジックも理由の一つでしょうし、官邸がメディアを抑えているということも理由の一つでしょう。でも、それらは言わば戦術です。なぜそのような戦術が採択されたのか、「何を実現するために?」という問いが立てられなければならないと僕は思います。 僕の暴論的仮説を申し上げます。敗戦後の日の基的国家戦略は、「対米従属を通じて対米自立を果たす」ということでした。これは敗戦国としてはそれ以外の選択肢がない必至の国家戦略でした。だから、後知恵で良い悪い

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/04/03
  • 言葉の生成について - 内田樹の研究室

    もう2年前になるけれど、大阪府の国語科教員たちの研修会に呼ばれて、国語教育について講演をしたことがあった。 そのことを伝え聞いた国語科の先生から「どこで読めますか」と訊かれたので、「お読みになりたいのでしたら、ブログに上げておきます」とお答えした。いずれ晶文社から出る講演録に採録されると思うけれども、お急ぎの方はこちらをどうぞ。 「言葉の生成について」 学期末のお忙しいところ、かくもご多数お集まりいただき、ありがとうございます。ご紹介いただいたように、僕の書いた文章は、入試問題や教科書に出たりしていますが、人間、一回見ると「こういうこと言いそうなやつだ」というのがだいたい分かります(笑)。 僕はエマニュエル・レヴィナスのを何冊か訳していたのですが、1987年にご人にはじめてお会いしました。レヴィナスの、それまでに一生懸命訳してはきたんですけれども、どうも自分の訳文に確信が持てない。こ

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/30
  • 受験生のみなさんへ - 内田樹の研究室

    「サンデー毎日」の先週号に「受験生のみなさんへ」と題するエッセイを寄稿した。 高校生や中学生もできたら小学生も読んで欲しい。 受験生のみなさんへ。 こんにちは。内田樹です。この春受験を終えられた皆さんと、これから受験される皆さんに年長者として一言申し上げる機会を頂きました。これを奇貨として、他の人があまり言いそうもないことを書いておきたいと思います。 それは日の大学の現状についてです。いま日の大学は非常に劣悪な教育研究環境にあります。僕が知る限りでは、過去数十年で最悪と申し上げてよいと思います。 見た目は立派です。僕が大学生だった頃に比べたら、校舎ははるかにきれいだし、教室にはエアコンも装備されているし、トイレはシャワー付きだし、コンピュータだって並んでいる。でも、そこで研究教育に携わっている人たちの顔色は冴えません。それは「日の大学は落ち目だ」という実感が大学人の間には無言のうちに

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/24
  • 直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」 - 内田樹の研究室

    山形新聞に隔月連載しているエッセイの3月分。今回は韓国教育改革について書いた。 韓国に毎年講演旅行に出かけている。ご存じないと思うけれど、私の著作は教育論を中心に十数冊が韓国語訳されていて、教育関係者に熱心な読者が多い。ここ三年ほどの招聘元は韓国教育監である。見慣れない文字列だと思うが、日とは教育委員会制度が違っていて、韓国は全国が17の教育区に分割されていて、それぞれの区での教育責任者である教育監は住民投票で選ばれているのである。 数年前にこの制度が導入された結果、多くの教育区で教員出身の教育監が誕生した。彼らは自身の教員経験を踏まえて、できるだけ教員たちを管理しないで、その創意工夫に現場を委ねるという開明的な方針を採った。その結果、日ではまず見ることのできない自由な校風の公立学校が韓国の各地に続々と誕生している。 そういう歴史的文脈の中で、私のような人間が各地の教育監に公式に招

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/18
  • 『街場の文体論』韓国語版についての質疑応答 - 内田樹の研究室

    『街場の文体論』の韓国語版が出る。訳者の金さんからいくつか質問が届いた。 ネット書店の「YES24」が出している「チャンネルYES」というネット・マガジンの広報のためのインタビューである。それにこんなふうに回答した。 問1先生のおっしゃる「クリエーティヴ・ライティング」とは、単なる文章の書き方やライティング・テクニックというより、人間と言語に対する深い理解である,というふうに受け止めています。文章を書く行為において最も重要なことは何でしょうか。 「宛て先」だと思います。でも繰り返し書きましたけれど、私たちの身には「何を言っているのかはわからないが、それが自分あてのメッセージであることはわかる」ということがしばしば起こります。なぜそれが自分あてのメッセージであることがわかったのかは自分にも説明がつかない。でも、自分がその「宛て先だ」と確信できる場合にしか、メッセージを理解しようという意欲は

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/18
  • 人口減社会に向けて - 内田樹の研究室

    農業新聞の「論点」というコラムに定期的に寄稿している。2月は「人口減社会」について書いた。あまり普通の人の読まない媒体なので、ブログに再録。 「人口減社会」についての論集の編者を依頼された。21世紀末の人口は中位推計で6000万人を切る。今から80年間で日の人口がおよそ半減するのである。それがどのような社会的変動をもたらすのか予測することは難しい。いくつかの産業分野が消滅すること、いくつかの地域が無住の地になることくらいしかわからない。起こり得る事態について想像力を発揮して、それぞれについて対策を立てることは政府の大切な仕事だと私は思うが、驚くべきことに人口減についてどう対処すべきかについての議論はまだほとんど始まっていない。だからこそ、私のような素人が人口減社会の未来予測についての論集の編者に指名されるというような不思議なことが起きるのである。 先日毎日新聞が専門家に人口減について

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/18
  • #Me too の光と影 - 内田樹の研究室

    今年から山形新聞というところに「直言」というコラムを毎月書くことになった。 1月から3月まで三つ書いたので、一つずつブログに上げることにした。 まず1月は#Me too 運動について。 アメリカで#Me too運動が始まったのは去年の秋のことである。ハリウッドの映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスタインの性的ハラスメント疑惑が『ニューヨーク・タイムズ』に報道されたことがきっかけになった。 ワインスタインはキャスティング権を利用して役を求める女優たちに性的な奉仕を求め、拒絶した女性の活動を妨害したなどの件で30人以上の女優やモデルたちから訴えられたのである。彼に対する告発には被害者自身だけでなく、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、ジェーン・フォンダといったビッグネームも加わった。ワインスタインは映画芸術科学アカデミーから追放され、プロデューサーとしてかかわっ

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/18
  • 平成が終わる(2) - 内田樹の研究室

    昨年末に平成の30年を総括して欲しいという原稿を頼まれたが、私が書いたのは「これから後『無慈悲で不人情な社会』が行政主導・メディア主導で創り出されてゆくだろう」ということだけだった。新年早々に気な話を読ませてしまって、読者の皆さんには申し訳なく思う。でも、ほんとうにそう思っているのだから仕方がない。 過去の総括を求められたのに、これから日を待ち受けるディストピア的未来について書いたのは、「これまでの30年を総括するためには、これからの30年を予測して、前後60年のスパンでおおまかな趨勢を見る必要がある」と考えたからである。今回はそれを踏まえて、過去30年間の総括をしてみたいと思う。 率直に言えば、1989年からの30年間は日にとって「落ち目」の日々だった。そして、この長期低落傾向はこれから先もう止まることがないと私は思っている。「落ち目」とは具体的にはどういうことなのか、そして、なぜ

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/03/11
  • 時間意識と知性 - 内田樹の研究室

    ポートアイランドの理化学研究所というところに招かれて、自然科学の専門家たちを前にしてお話をしてきた。せっかくの機会なので、人間の知性とは何かという根源的なテーマを選んで70分ほど「ごった煮」的なレクチャーをした。聴衆のリアクションがとてもよかったので、つい暴走して、いろいろふだん言わないようなことまで口走ったので、備忘のためにここに記しておく。ものすごく長い話なので、ここに掲げたのはその半分くらいである。 『ブレードランナー2049』は「人間とレプリカントを識別する指標は何か?」という問いをめぐる物語である。それは「最終的に人間の人間性を担保するものは何か?」という問いに置き換えることができる。 人間性とは突き詰めて言えば何なのか?それ以外のすべての条件が人間と同じである人工物を作り得たとしても、それだけは与えることができないものがあるとしたら、それは何か? これは古い問いである。おそらく

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/02/04
  • 『街場の文体論』韓国語版序文 - 内田樹の研究室

    街場の文体論 韓国語版の序文 みなさん、こんにちは。内田樹です。 『街場の文体論』お買い上げありがとうございます。お買い上げでなく、いま書店で立ち読みしている方にもお手に取ってくださったことについてお礼申し上げます。 このは僕が神戸女学院大学に21年間勤めて、退職する前の最後の学期に行った「クリエイティブ・ライティング」の講義録に加筆したものです。教壇で半年間まとまった講義をするのもこれが最後でしたので、僕がそれまで言語と文学について考えてきたことを全部詰め込んだ、欲張りな授業でした。 これが韓国語訳されることになったわけですけれど、果たして僕がこの授業で取り上げたさまざまなトピックが隣国の読者たちにとっても同じような切実さを持つものかどうか、確信がありません。でも、一つ言えるのは、韓国でも日でも、言語が遭遇している危機についてはおそらくそれほどの違いはないということです。それは母語が

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/02/04
  • 『新潮45』がこんな記事を掲載していた時期もあった - 内田樹の研究室

    『新潮45』の権力へのすりよりがいささか目に余るという指摘を山崎雅弘さんがツイッターでしていて、その証拠に「昔は内田樹の論説を巻頭に掲げていた時期もあった」と書いていらしたので、そんな時代もあったかしらとハードディスクの筐底を探していたら、たしかにありました。2009年の5月号でした。バラク・オバマが大統領が選ばれたときのことです。大昔のことのようです。よくこんなごちゃごちゃしたとりとめのない話を巻頭に書かせてくれたものです。古文書ですけれど、お暇なときにどうぞ。 アメリカの第44代大統領に、史上初めてアフリカ系のバラク・フセイン・オバマが選ばれました。大統領就任式は日でも中継され、未明にもかかわらず多くの日人が彼の就任演説に耳を傾けました。 この演説は、内容はごく常識的でシンプルなもので、アメリカ政治家によくある、いわば「ストックフレーズの乱れ撃ち」のごときスタイルでした。特段に知

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/01/21
  • 2017年の重大ニュース - 内田樹の研究室

    年を越してしまいましたが、恒例の重大ニュースを発表します。 なんか、毎年同じようなことばかり書いているような気がするけれど、ご容赦ください。 今年もたくさん仕事をしました。 (1)講演 2月に台湾で村上春樹について講演。台湾の淡江大学というところに村上春樹研究センターという世界でただ一つの村上春樹の専門研究機関があります。そこのお招きで「村上文学の系譜と構造」というお題で講演をしてきました。今回強く感じたのは、台湾の「勢い」です。飛行機で関空に帰ってくると「がらんとしていて、勢いがない」ということがしみじみ実感されます。90年代まではこんなことを感じたことはありませんでした。国力が衰退局面に向かっているということは統計的な数値を見なくても、こういう海外とのインターフェイスに立つと、ありありとわかるんですね。 それから、沖縄でのSEALDsRyukyu の主催の講演を皮切りに、真言宗愛宕薬師

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2018/01/01
  • 尖閣インシデント - 内田樹の研究室

    兪先生から「フォーリンポリシー」のコピーを昨日頂いた。記事は2016年1月15日に掲載されたもので、もう2年近く前のものだが、尖閣列島の領有をめぐって日中国が戦闘状態に入った場合のアメリカの行動についてのシミュレーションの報告である。 「フォーリン・ポリシー」の二人のレポーターが戦争ゲームの専門家のところで「尖閣インシデント」という戦争ゲームをする話である。 「日海軍」(Japanese navy)とか「嘉手納基地が跡形もなく吹き飛ぶ」とか「日の乗組員が500人死ぬ」とか、われわれからすると「ずいぶん無神経な言葉づかい」と思える表現が散見されるが、ラングレーやホワイトハウスのアメリカの専門家たちはたぶんこういう言葉づかいとこういうロジックで外交的選択肢について論じているのだろうということを知る上ではたいへん裨益するところの大きな資料である。 問題はこういう「想像力の使い方」を必要な

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2017/12/23
  • 「ローカリズム宣言」まえがき - 内田樹の研究室

    みなさん、こんにちは。内田樹です。 今回は「ローカリズム宣言」というタイトルで、地方移住、定常経済などにかかわる文章をまとめてを一つ作りました。の素材になったのは、このの出版社が出している『TURNS』という雑誌で二年ほどにわたって連載したインタビュー記事です。 『TURNS』というのはUターン(生まれ故郷へ帰還する)、Jターン(生まれ故郷とちょっと違う土地に住み着く)、Iターン(都会に住んでいる人がぜんぜん縁のない土地へ移住する)という三種類の「ターン」のことです。この雑誌はそういうふうに「ターン」して、地方移住をめざす人たちのための情報誌です。 最初に『TURNS』から取材のオッファーがあったときには、この世にそんな特殊な読者を対象にした特殊な雑誌があるなんて知りませんでした。どこにも広告も出していない、名前も知らなかった雑誌にそれなりのニーズがあるということにまず驚きました。実

    D-S-C-H
    D-S-C-H 2017/12/10