早起きして夕飯の準備をした。鍋だ。野菜とキノコと鶏むね肉で拵えた団子の豆乳鍋。夫婦平等を掲げる我が家では極めて平等に原則火曜木曜土曜日曜の夕飯は僕の担当となっている。つまり義務である。立川談志師匠みたいなロックな生き方に憧れたが半生をかけてたどり着いたのは義務調理男子。マンモス悲ピー。なぜ、数多の料理から鍋を選んだのか。理由はふたつ。その一、午後七時半ギリギリに帰宅して火にかければ良いから。午後七時半は我が家の夕食開始タイムである。その二、「肉取りなよ」「その野菜どーぞ」のような何気ないやり取り、会話が生まれる可能性がわずかにあるから。ギリギリまで外にいたいという記述から、勘のいい方ならお分かりだと思われるが、現在我が家は一時的に会話がほとんどなく、重苦しい状態に陥っている。僕の毎日は無言の圧力鍋と憤怒の業火でぐつぐつ煮込まれているようなものだ。この沈黙の冷戦がいつ、何をきっかけに始まった