パトリス・シェローが演出し、 ピエール・ブーレーズが指揮をした バイロイト音楽祭の 『ニーベルングの指環』は、当時、 その前衛性が大きな論争を呼んだ。 初演の1976年は、私は中学生。 あれから30年余りが経って、 今その記録を見ると、もはや 古典と化している。 たとえば、『神々の黄昏』 の最後、ブリュンヒルデの自己犠牲。 http://www.youtube.com/watch?v=BmX9N8C8nko ジークフリートの亡骸に火をつけ、 自らもラインの乙女たちに黄金を返す ために火の中に飛び込む。 ライン川の水かさが増し、すべてを 飲み込む。遠くでワルハラ城が炎上するのが 見える。 黄金を取り返そうとあわてて飛び込む ハーゲンも、水に飲み込まれてしまう。 黄金が戻り、よろこんで泳ぐラインの乙女たち。 最後に、旧世界が燃え上がるのを ひしめき合いながら騒然と 見つめていた群衆の中から、一