銀河中心の大質量ブラックホール ―観測データ、再解析、高速回転する降着円盤か?― プレスリリース DATE: 2024年10月25日 三好真 (国立天文台 JASMINEプロジェクト 助教) 加藤成晃 (気象庁情報基盤部数値予報課・技術専門官) 牧野淳一郎 (神戸大学 大学院理学研究科 惑星学専攻・特命教授) 発表概要 イベント・ホライズン・テレスコープの観測によって2022年に天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール像だとして報告されたリング状の姿は、本当の像ではなく、望遠鏡の特性によってできた形状である可能性が高いと結論しました。 今回の再解析からは、東西に伸びた形状が確認されました。これは過去の高空間分解能観測の結果とも矛盾しない構造です。ブラックホールの周りを光速の約60パーセント程度で高速回転する降着円盤の姿が見えていると思われます。 高速回転によるドップラー効果により東側半
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太陽系のいくつかの天体は「環」を持っています。また、現在は消えているものの、過去には環を持っていたと推定される天体もいくつかあります。では、私たちが住む「地球」には、現在では消えてしまった環があったことはあるのでしょうか? モナシュ大学のAndrew G. Tomkins氏、Erin L. Martin氏、Peter A. Cawood氏の研究チームは、「オルドビス紀」の中期から約4000万年の間に形成された21個のクレーターの分布が赤道付近に偏っていることから、今から約4億6600万年前の地球には環があったのではないかとする推定を発表しました。 また3氏は、当時の地球で起きた大規模な気候変動の原因は、環の影響による日射量の変化であるとも推定しています。オルドビス紀には気候変動に伴う生物の多様化と、その末期に地球史上2番目に大規模な大量絶滅が起きたと考えられています。生物の進化と絶滅に、環
地球の衛星「月」は、一般的に「大気は無い」と説明されます。ただしこれは分かりやすさを優先した表現であり、実際には極めて薄い大気が存在し、原子が月の地面を “跳ね回っている” と考えられています。この薄いガス層は、月の表面にある岩石から飛び出した原子に由来するものが含まれていると考えられていますが、その正確な起源は不明のままでした。 シカゴ大学のNicole X. Nie氏などの研究チームは、アポロ計画で採集された月の土壌を分析することで、月の大気の約7割が流星(微小隕石)の衝突によって発生していることを突き止めました。この分析結果の背後には、月の土壌が数十億年かけて少しずつ変質した歴史が反映されています。今回の研究結果は、月よりずっと小さな天体に由来するサンプルを分析する際にも重要なヒントを与えるかもしれません。 【▲ 図1: 月面での活動の想像図。(Credit: NASA)】 ■月には
タイトルの「太陽の空」を追いかけるシリーズも残り今回と次回の予定です。前回は太陽風の仕組みについて、マニアックなお話となりました。 今回はその太陽風の行き着く先のお話です。 太陽から吹き出した風は外へ外へと広がっていきますが、その勢いは弱まり、やがて恒星の間を埋める物質(星間物質)の流れと釣り合います。 このスケールにおいては星間物質は均質に一方向から流れているとします。その上流方向に向かう方向において、太陽風は星間物質と正面衝突し、横へと流れます。全体的な形としては下の図の緑色~赤色の範囲の様に彗星の様な形となります(形について は彗星型派閥とクロワッサン型派閥があります。僕は彗星型派閥の出身なのでこちらの形で)。 この星間物質と太陽風の境界面のことをヘリオポーズと呼びます。太陽からヘリオポーズの距離は最も近い星間物質の流れの上流方向において約120天文単位です。1天文単位が地球と太陽の
ブラックホールは、一般相対論の有名なアインシュタイン方程式の解として得られる時空の1つです。通常は重い星の重力崩壊などで作られると考えられています。事象の地平面という因果律の境界を持ち、その地平面を越えて内部に入ってしまうと、古典的一般相対論が成り立つ範囲では、決して外に戻れません。光でさえも戻って来れないので、外から見ていると黒い穴が時空に開いたように見えます。それがブラックホールの語源の由来にもなっています。 物質が全部地平面内に既に落ちているならば、地平面の外側は静的な時空になっていて、安定しています。電荷や角運動量を持たないブラックホールは、「シュワルツシルト解」と呼ばれるアインシュタイン方程式の真空解で記述されます。そして座標変換を使えば、この真空解を地平面内部まで拡張することが可能であり、時空曲率が発散をする特異点領域が見えてきます。光の軌道が斜め45度の直線となる時空構造のペ
天の川銀河できわめて高速の分子雲が見つかった。この分子雲には巨大なシェル構造や空洞などが付随していて、銀河円盤をダークマターの塊が通過した痕跡とみられる。 【2024年6月10日 国立天文台 野辺山宇宙電波観測所】 私たちが属している天の川銀河は、直径約10万光年の円盤部と中心のバルジ、それらを取り囲む直径約30万光年のハローで構成されている。円盤部分には主に星と星間ガスがあり、水素分子を主成分とする濃い星間ガス雲は分子雲と呼ばれている。一方、ハローにはダークマター(暗黒物質)が広がっていて、その中を球状星団や矮小銀河、希薄な水素原子雲などのハロー天体が飛び交っている。 天の川銀河のイラストと主な構造。中心部には老齢の星が多く集まったバルジ(Bulge)と呼ばれる膨らんだ構造がある。銀河を取り巻く巨大な球状の構造はハロー(Halo)と呼ばれ、希薄な星間物質や球状星団(Globular cl
レポート 長周期彗星を迎え撃つ探査機「Comet Interceptor」とは? 日本が開発する子機に注目! 人類として初めて長周期彗星や恒星間天体を直接探査しよう、という非常に野心的なプロジェクトが「Comet Interceptor(コメット・インターセプター)」である。このプロジェクトは欧州宇宙機関(ESA)が主導しているものだが、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も子機の提供で協力。2029年の打ち上げに向け、日欧で現在開発が進められている。 「Comet Interceptor」のイメージCG。母船の上に子機が2台搭載される (C) ESA 日本側が提供する子機の開発メーカーとして選ばれたのは、2018年創業の宇宙スタートアップ「アークエッジ・スペース」だ。超小型の子機とはいえ、JAXAの深宇宙探査機の開発メーカーとして、宇宙スタートアップが選定されたのはこれが初めて。同社で
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