行動経済学×医療 なぜ私たちの意思決定は不合理なのか? 患者の意思決定や行動変容の支援に困難を感じる医療者は少なくない。 本連載では,問題解決のヒントとして,患者の思考の枠組みを行動経済学の視点から紹介する。 [第2回]損失回避 治療をやめる意思決定は難しい 平井 啓(大阪大学大学院人間科学研究科准教授) (前回よりつづく) 「わずかな確率でも,可能性に賭けたい」 これ以上は積極的治療を続けても効果が見込めないと思われる患者さんに,今後を考えて積極的治療の中止を提案することとなった。 主治医 Aさん,大変残念なお知らせなのですが,抗がん剤がうまく効いていないようです。 看護師 薬の副作用はつらくないですか? このまま抗がん剤を続けて副作用に苦しむより,残された時間を有意義に使えるようQOLの維持を優先したほうがいいかもしれません。 患者 1%の確率でも効く可能性のある治療に賭けたいです
![損失回避 治療をやめる意思決定は難しい(平井啓) | 2017年 | 記事一覧 | 医学界新聞 | 医学書院](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8a4dff8a9e522297397c704998bf26eb76ca2858/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.igaku-shoin.co.jp%2Fpackages%2Figaku_shoin%2Fthemes%2Figaku_shoin%2Fassets%2Fimages%2Figakushoin_paper.png)