今年6月中旬に、NATOは「ボトニア」という架空の国がスバルキ・ギャップを占領したというシナリオの下に、軍事演習を行った。ボトニアがロシアを想定していることは、言うまでもない。この演習では、米国、英国、ポーランドの混成部隊がヘリコプターでスバルキ・ギャップに送り込まれ、ボトニア軍を攻撃。その後、南方から米軍の戦車部隊が進入して、スバルキ・ギャップを制圧した。 演習はNATO軍の勝利に終わったが、現実は厳しい。筆者は今回バルト3国を訪れて、この地域に山がほとんどなく、平原が多いために、戦車部隊による「電撃戦」を展開するのに適していることに気が付いた。ロシア軍の戦車部隊は、いったん国境線を突破したら、平原や、交通量が少ない高速道路を利用して、あっという間にビリニュス、リガ、タリンなどの主要都市に到達してしまうだろう。米シンクタンクのランド研究所は、2016年に発表した報告書の中で、「ロシア軍は