東西統一後まもない1993年のドイツで、移民を襲うネオナチを糾弾し、人々の共感を集めた歌があった。「シュライ・ナハ・リーベ(愛への叫び)」。この曲が昨秋、22年の時を越え、ヒットチャート1位に輝く「奇跡」が起きた。 歌うのは、過激な表現が持ち味の男性3人組ロックバンド「ディ・エルツテ」。このバンドの研究本を書いたフランク・ゴイケさん(54)は「愛への叫び」について「物議を醸すこともあった彼らが、初めて強い政治的なメッセージを込めた曲」と話す。 曲の中で、荒ぶるネオナチにこう呼びかけた。 おまえの暴力は愛への無言の叫びにすぎない/おまえの軍靴は愛情を切望する 異例のリバイバルには、「仕掛け人」がいた。 独北部オスナブリュック在住のソフト開発者、ローランド・タプケンさん(33)。昨年8月末、友人の結婚パーティーでディ・エルツテの曲が流れたのを聞いてひらめいた。「『愛への叫び』を、難民への応援歌