1996年4月24日に行われた初公判で、地下鉄サリン、元信者リンチ殺害、薬物製造の各事件についての罪状認否を求められた麻原は、説法で多用していた宗教用語を並べて自分の心境について語り、「いかなる不自由、不幸、苦しみに対して一切頓着しない、聖無頓着の意識。これ以上のことをここでお話しするつもりはありません」と述べただけで、事実についてはまったく語らなかった。その後も、自らの刑事責任が問われる法廷での麻原は寡黙だった。 同じ頃、公安審査委員会では、オウム真理教に対して破壊活動防止法に基づく解散命令を出すかどうかを決めるため、教団側の弁明を聞く手続きが行われていた。5月15日、28日の弁明手続きには、麻原本人が出席。教団の危険性や政治性を「ございません」「ありません」とことごとく否定し、実に饒舌に語った。 自らが説いていた殺人を肯定する教義については「味の素のようなもの。味の素を入れなくても、醤