(http://throw.g.hatena.ne.jp/sasuke8/20080507/p1より転載・一部改変) 夕方、作業小屋。開いた戸口から、オレンジの光が入る。 青年と少女、二人。 少女が笑顔を作り、青年に声をかけた。 「写真見たよ。いい人そうじゃない」 「うん」 「健康そうだし、農作業も手伝ってくれそう」 「うん」 「綺麗だし、明るそうだし、何より優しそうだね……」 「うん」 「どうしたの? 嬉しくないの?」 「……君が悲しそうだから」 少女はうつむき、黙り込む。小屋に沈黙がおりる。 少女は微笑んで、顔をあげた。 「……仕方ないよ。タモツ君ももうすぐ30歳でしょ。そろそろ結婚してさ。子供生んで、お父さんやお母さんを安心させてあげなくちゃ」 「そんなの、どうでもいいよ」 「どうでもよくないよ」 「どうでもいい」 「よくない」 「いいんだよ」 そして、青年は少女を抱きしめた。少女は