政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」に5月30日提出された内閣府の調査報告書は、消費税が持つ逆進性や景気への悪影響を否定し、消費税率の引き上げを「段階的に行うことが適切」と明記しました。“先に消費税増税ありき”の暴論を見てみます。(山田英明) 「そもそも消費税の逆進性自体それほど大きなものではない」。報告書はこう断言。消費税による税負担が「不公平ではない」と主張しています。 消費税は、低所得者ほど負担が重くなる逆進性(図)を持ちます。高所得者ほど収入のうち、消費のほかに貯蓄や投資に回す分が多くなるためです。 “架空の前提” 報告書が逆進性を否定する根拠とするのは、“消費税は生涯所得に対する比例税”という見方。つまり、年齢が若いうちは、高所得者ほど収入を貯蓄に回す分が多く、同じ年齢の低所得者と比べて収入に対する消費の割合に逆進性があるものの、年をとるにつれて多くの人が貯蓄を取り崩して収