迫りくる危機 土砂廃棄による破壊が懸念されるグレートバリアリーフのサンゴ礁 Andrew WatsonーThe Image Bank/Getty Images 政権奪取からわずか半年で、オーストラリアのトニー・アボット首相は環境政策を「脱線」させた。環境保護派の学者たちは、口をそろえてそう言う。 アボットの政策は世界で最もデリケートな生態系のいくつかに取り返しのつかないダメージを与えかねないと、彼らは警鐘を鳴らす。だが環境に優しい政策に戻るよう訴え掛けても、超保守派のアボットの反応はなきに等しい。 アボット率いる自由党は、二酸化炭素の排出に課税する炭素税および鉱物資源利用税を廃止し、経済発展を阻む「環境規制の束縛」を断ち切ると公約。昨年9月に、労働党から政権を奪還した。 オーストラリア鉱業協会のブレンダン・ピアソン会長に言わせると、両税の廃止は投資と雇用の確保が目的。同時に地域社会を支援し