労働時間の異常データ問題で、政府は近く提出する働き方改革関連法案から裁量労働制の拡大を切り離すことを決めたが、それでも8本の法改正を一度に行う「束ね法案」だ。労働者を保護する残業時間の規制強化と、一部の職種を規制対象から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)という逆方向の内容が盛り込まれる。法案の残る問題点を追った。【佐藤丈一】 法案は国会提出から審議、採決の一連の手続きを経て法律となる。10本の法案があれば原則として審議をそれぞれ行うが、束ね法案ならば1回限りだ。政府・与党としては「時間短縮」の効果があり、内閣官房幹部は「会期中に成立させられる法案には限りがある」と語る。 近年、こうした形で提出される法案が目立つ。安倍政権が2015年5月に提出した安全保障関連法案(平和安全法制整備法案)は、集団的自衛権の行使容認などを柱に、自衛隊法など合計10本を改正する束ね法案だった。内閣法制局の横