四半世紀ぶりに中国・北京を訪れた。正直、その変貌ぶりに驚いた。前回、私が降り立った北京空港は老朽化した薄暗い建物だった。2008年に供用開始された現在の北京首都国際空港第3ターミナルは、イギリス人建築家ノーマン・フォスター設計の洗練されたデザインだ。美しい印象の残る外観に明るく開放的な大空間は、世界中から大勢の人を迎え入れるのに相応しい空の玄関口と言えるだろう。 この巨大空港の年間旅客数は約9千万人と世界第2位を誇るが、処理能力が限界に近づいている。2019年には北京市の南方に、あらたにザハ・ハディド設計の世界最大規模となる北京大興国際空港が誕生するそうだ。新空港は7本の滑走路を有し、最終的には年間1億人以上の処理能力があるという。北京はふたつの巨大ハブ空港が併存する世界でも稀な都市になる。 当時の空港から都心に向う幹線道路は、古い自動車でひしめき合っていた。今日では空港まで北京地下鉄が乗