この本は、1983年夏に、今西錦司と柴谷篤弘が「今西進化論」について談論した記録。米本昌平の発案をリブロポートという出版社が企画して実現した。その背景になったのは、柴谷篤弘が「今西進化論批判試論」という本を出版していたから。もう少し背景を説明すると、1970年代後半の「科学批判」「巨大科学プロジェクト批判」があって、近代科学の還元主義に対する批判があった。また分子生物学の研究が進んでセントラルドグマに合致しない現象が見つかった。木村資生、グールドその他によるネオ・ダーウィニズムの批判が現れていた。そのような状況にあって、ダーウィニズムでない進化論であり、かつ日本発の思想である今西進化論に話題が集まっていた。たしかに、このころにはまとまった進化論の教科書はなかったなあ、そのかわりにいまなら「トンデモ」に含まれる進化論の本が自然科学の棚に並んでいた。 いくつかの科学史的なところからきのついたと

