東京・九段北の靖国神社境内には、東京裁判で被告全員無罪を主張したインド代表のパール判事の顕彰碑がある。そこには、パール判決文(意見書)を引用した次の有名な言葉が碑文として刻まれている。 「時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には その時こそ正義の女神は その秤(はかり)を平衡(へいこう)に保ちながら 過去の賞罰の多くに そのところを変えることを要求するであろう」 戦後、すでに70年近くがたった。本来ならば熱狂と偏見の時代はとっくに過ぎ去り、先の大戦をめぐるさまざまな経緯は、もう「恩讐(おんしゅう)の彼方(かなた)」となっていいはずだ。 そうであれば、日本のこれまでの平和の歩みはもっと正当に評価されていただろう。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の見直しも、理性的で落ち着いた雰囲気の中で議論されていたのは間違いない。 ところが現実は違う。中国や韓国