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ブックマーク / agora-web.jp (150)

  • ノマドの反乱 - 池田信夫

    一昨日の記事に堀江貴文氏からコメントをもらいました。インフルエンザをめぐる過剰反応にうんざりしているのは、みんな同じのようですね。ただ私は、彼が考えるほどこの問題は宿命的ではないと思います。 「日人が極端にリスクをきらうのは農耕民族だからだ」といった説明がよくありますが、これは歴史的にはおかしい。網野善彦が明らかにしたように、「百姓」は農民のことではなく、漁民や商人や職人などを含む雑多な民衆のことです。彼の『無縁・公界・楽』にも書かれているように、「無縁」というのは農村のタコツボ的共同体から自由になることで、こうしたノマド(移動民)が農村を横断する公共的な空間(公界)を創造しました。公界は聖なる空間で、ここから神話や芸能が生まれたのです。農村も自給自足の共同体ではなく、縄文時代から地域間の交易があったことがわかっています。 しかし農村の外からやってくるノマドは忘れられ、古来から農民が日

    ノマドの反乱 - 池田信夫
    Itisango
    Itisango 2009/05/23
  • 雇用のポートフォリオ - 池田信夫

    最近の雇用不安に対応して、企業の側では雇用を多様化する動きが出ています。日経団連も、雇用のポートフォリオとして、「長期雇用従業員」と「有期雇用従業員」をそれぞれ「非定型的業務」と「定型的業務」に割り当てる方針を示しています。しかしこのポートフォリオには、致命的な欠陥があります。 通常のポートフォリオ理論では、資産の組み合わせが図の上のように「ローリスク・ローリターン」の預金と「ハイリスク・ハイリターン」の株式を組み合わせた線形結合としてあらわされ、期待値(リターン)は分散(リスク)の増加関数になっているのが普通です。 ところが日では強い解雇規制によって、リスクが最小の正社員のリターンが最大で、リスクが最大の契約社員のリターンが最低なので、リターンがリスクの減少関数になっています。このため図の下のようにポートフォリオの収益が右下がりの直線になり、全員がローリスク・ハイリターンの正社員を望

    雇用のポートフォリオ - 池田信夫
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    Itisango 2009/05/06
  • 「よみがえる社会主義」は日本に何をもたらすか? - 松本徹三

    池田先生の「よみがえる社会主義」を興味深く読みました。これに続く「不安のループ」「輸出立国の突然死」とあわせて読むと、現在の日が如何に危険な状況におかれているかがよく分かります。池田先生も指摘しておられるように、今回の経済危機で、多くの人達が「社会主義の誘惑」にとらわれ始めており、大衆の漠然たる期待に迎合するのが主たる行動原理である政治家の多くが、後先かまわず「社会主義的な政策」へと傾斜しつつあります。しかし、今更「鎖国」をするわけにはいかない日は、このことによって、結果的に相当致命的な傷を受けることになるでしょう。 今から50年前、私が学生だった頃には、「社会主義」は当然の選択であるかのように見えました。私は、当時盛んだった学園闘争のようなものにはあまり興味 がなく、参画もしませんでしたが、それでも、当時の自民党政権は長続きせず、また長続きすべきではないと、当然のことの如く考えていま

    「よみがえる社会主義」は日本に何をもたらすか? - 松本徹三
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    Itisango 2009/04/30
  • よみがえる社会主義 - 池田信夫

    Rasmussen Reportsの世論調査によると、アメリカ人のうち「社会主義より資主義のほうがいい」と思っている人は53%で、20%は「社会主義のほうがいい」と思っているそうです。特に30歳以下では、資主義が37%に対して33%が社会主義と、拮抗しています。 資主義の家であるアメリカでこうなのだから、いま日で同じような調査をやったら、社会主義が上回るかもしれない。共産党員が増え、若者は「派遣村」などで労組に取り込まれ、「階級闘争」を叫ぶ手合いもいます。政府もバラマキ財政政策に加えて、「産業再生法」で日立やエルピーダに資注入する方向です。日は社会主義に向かって大きく舵を切ったようにみえます。 若者が社会主義にひかれるのは理解できます。それはかつて学生運動が盛り上がった原因と同じです。貧しい労働者を見ていると「労働者を搾取している資家を倒して彼らの金を労働者に分配しろ」とい

    よみがえる社会主義 - 池田信夫
  • 大ざっぱに正しい経済学を - 池田信夫

    BusinessWeekで、「経済学は役に立たない」という特集をやっています。このごろ雑誌で経済学を取り上げると、必ずこういうテーマで、うんざりします。 ただ役に立たないことは事実で、経済学を自然科学と同じ意味での「科学」と呼ぶことはできません。自然科学で、たとえば明日の朝、太陽が東から昇るか西から昇るかで論争になることは考えられない。ところが経済学では、今のような危機で政府が何をすべきかといった基的な問題についてさえ、右から左までいろんな意見があって、全体としては何も結論が出ません。 もちろん経済が非常に複雑性の高い現象だというのが根的な原因ですが、経済学の方法論にも問題があります。科学としての体裁をとることに過剰なエネルギーをそそぎ、その来の目的である経済政策を処方することが、学問的に余り評価されていない。特に最近のマクロ経済学では、厳密な定量的モデルをつくることが評価され、動学

    大ざっぱに正しい経済学を - 池田信夫
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    Itisango 2009/04/18
    つまり、この人の文章は役に立たないって事?
  • 世界的にケインズ政策が復活しているという迷信--池尾和人

    池田さんとの共著の『なぜ世界は不況に陥ったのか』で紹介している経済理論を「最新」のものだと勘違いしている人がいるようなので、ちょっと恥ずかしいので正しておきたいと思います。関連して、新たに生まれている迷信についても、言及しておくことにします。 の中で述べている経済学的な理論のうち、複数均衡だとか、コーディネーションの失敗、政策の時間整合性とかいったミクロ経済学的な概念は、おおよそ15~20年前から一般化しているものです。情報の非対称性にいたっては、引用している「レモン問題」を論じたアカロフの論文は1970年に発表されていますから、40年近く前から使われるようになった概念です。ミクロ経済学については、のp.162でもその趣旨を記していますが、「ほぼすべての分野における経済理論のゲーム理論による書き換え」が1980年代に起こります。この点については、もう15年前のですが、神取道宏「ゲーム

    世界的にケインズ政策が復活しているという迷信--池尾和人
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    Itisango 2009/04/05
  • 日本は「お任せ封建土候国」(「論争の不在」を読んで) - 北村隆司

    大正デモクラシー時代に学生生活を送り格的な論議に馴染んでいた父は、日が敗戦によるアメリカの影響で論議を端折ったダイジェスト文化に汚される事を恐れていました。 勉強嫌いな私に、少しでも刺激を与えようと語ってくれた「福田徳三・小泉信三」師弟論争やアインシュタインの一橋大学訪問の興奮は、当時中学生であった私の其の後の人生に大きな影響を与えました。その様な父の影響もあり、大学では全学の学生が聴講できる特別講義は欠かさず出席するように勤めました。 特別講義の講師は国籍や時代を超えた偉大な方々で、その説得力に放心させられた事が何度もありました。単位を貰えないこの講義シリーズが、母校に一番感謝している経験です。物静かに語る偉人の講義は、折伏とは異なり物事を深く考えさせる不思議な説得力を持っていました。 中でも、故ネルー印度首相の言葉と語り振りは忘れる事が出来ません。ネルーが獄中から娘のインデイラに書

    日本は「お任せ封建土候国」(「論争の不在」を読んで) - 北村隆司
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    Itisango 2009/02/21
  • 官僚の「転職支援システム」は不要!! - 北村隆司

    「民主党は再就職等監視委員会の人事案を審議せよ」を読み、気に入らないと駄々をこねる民主党の幼稚さに改めて呆れました。国民は政策を審議する事を目的として国会議員を選出した事を忘れないで欲しいものです。審議拒否は国民の信託への裏切りに通じます。 小沢氏が著した「日改造計画」を読んだ1993年当時の私は、新しい型の政治家が誕生したと興奮を覚えたものでした。処が、多くの人の期待を背に民主党の指導者となった小沢氏の政治スタイルは、党利党略、政局一辺倒の旧態依然たる姿でした。小沢氏のマニフェストかと思った「日改造計画」は、矢張りゴーストライターの著作だったのでしょう。 但し、「勇退を前提にした人事システムだけを急に変更しながら、経過措置として転職支援システムを設けないのは不公平」と言う池田先生の主張は、日頃の歯切れの良さに似合わない論調で、賛成する訳には参りません。 終身雇用を前提に入社しながら、

    官僚の「転職支援システム」は不要!! - 北村隆司
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    Itisango 2009/02/19
  • 「失われた10年」の本当の教訓 - 池田信夫

    大きな期待をもって迎えられたオバマ政権ですが、早くも暗雲がたちこめてきました。財政政策は「バラマキだ」と議会に批判され、金融政策は「中身がない」と株式市場から売り浴びせられました。どんな大統領でも、今みたいなときにベストの答を出せるとは思えませんが、オバマが「日の『失われた10年』の轍は踏まない」と言うのを聞くと、「当に日の90年代を知ってるの?」とテレビに向かって突っ込みたくなります。 誤った教訓の典型は、クルーグマンの次のような話です: 日に感謝する必要があると考える。経済危機が起こりうるという現実と、その際にどういった政策が効果的で、何が効果的でないかを示してくれたからだ。 90年代の日の経験とは、政府の財政出動が、根的な解決にはならないまでも経済にかかる圧力をかなり軽減したということだ。 こんな話は、学問的な論文はおろかメディアの論評にも出てこない。実証研究によれば「公

    「失われた10年」の本当の教訓 - 池田信夫
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    Itisango 2009/02/14
  • 『なぜ世界は不況に陥ったのか』サマリー

    池尾・池田のエグゼクティブ・サマリーです。 第1講では、サブプライムローン問題から全般的な信用危機へと今回の金融危機が深化し、拡大していったプロセスをたどります。ただし、多くの読者にとって既知となっているような事実関係について詳細に述べることは省略して、何が質的なポイントであるかについてもっぱら論じることにしています。 問題の発端となったサブプライムローン問題については、2つの点を押さえる必要があります。1つは、住宅バブルが発生して崩壊したという点で、この点に関しては、われわれがかつて日で経験したことと共通しています。しかし、もう1つ、そのバブルの生成と崩壊がどのような金融システムの下で起こったのかという点を押さえておかなければなりません。日の場合には、伝統的な銀行中心の間接金融体制の下で問題が起きました。これに対して今回のアメリカの場合には、きわめて高度かつ複雑に発展していた重層

    『なぜ世界は不況に陥ったのか』サマリー
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    Itisango 2009/02/08