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ブックマーク / traindusoir.hatenablog.jp (12)

  • 雇用政策のジレンマ - 備忘録

    ※追記および関連エントリーを追加しました。(12/03/11) ここにいう「ジレンマ」とは、通常、雇用情勢がよくなること、例えば、求人数が増加すれば、雇用政策の執行はより容易になると考えるのが自然であるが、逆に、雇用情勢がよくなることによって、雇用政策の執行がより困難になる側面もある、ということを意図している。ブログは、とりわけ経済や雇用の問題に関心のある方に読んでいただく傾向があるので、これまで、ちまたの議論ではあまり指摘されることのなかったこの問題について取り上げる。 2008年秋の金融危機に端を発する需要の大幅な縮小により、雇用情勢は急速に悪化したが、麻生自民党政権(当時)は、これまでにない規模の雇用対策を発動した。これらを簡単にカテゴライズして整理すると、つぎのようになる。 雇用調整助成金などを活用した企業の雇用維持の支援 基金を活用した自治体による一時的な雇用機会の創出 雇用保

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    Itisango 2011/11/30
  • ビークルとしての中央銀行 - 備忘録

    ※脚注を追加しました。 柄谷行人『世界史の構造』への感想の中で、以下のように記述した。 金位制の時代とは異なり、現代の世界貨幣である主要通貨は不換紙幣である。それは、その素材そのものに価値はないが、国家の負債としての裏付けを持つものである。中央銀行は、この見方からするとビークル(導管)のようなものとなろう。ただし、それは金利と貨幣量の調整を通じて、経済そのものに影響を及ぼし得るような意志を持つ「ビークル」である。不換紙幣が「金や銀」と置き換わることで、世界経済は貴金属の量によって制約されることはなくなり、一方、一国の経済は国家(中央銀行)の政策によってグリップされることになる。 これは、「貨幣が成立する根拠は、それをまた誰かほかの人が貨幣として引き受けてくれることが期待できるという事実」(岩井克人)であって、貨幣そのものは価値の根拠をもたないという見方を否定するために用いたたとえである。

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    Itisango 2010/09/04
  • ジニ係数と完全失業率(再訪) - 備忘録

    ※文章を一部修正しました。(01/14/10) 当ブログでは、以前、ジニ係数と完全失業率の間に相関性があり、完全失業率が高く(低く)なると、所得格差が広がる(縮小する)ことを指摘した。 日版ニュー・エコノミー論と格差問題(2) ──日のジニ係数の上昇要因 この分析では、系列相関(誤差項と、そのラグの系列に相関性があること)の可能性は考慮しているが、系列が非定常(定常であるとは、時間や位置によって確率分布が変化しない確率過程であること)となることで、見かけ上、相関性が強まる可能性は考慮していない。ジニ係数には、ときをおうごとに、しだいに高まるような傾向がある。これは、人口の高齢化が主たる要因であると考えられる。そこで、ジニ係数の系列の推移からタイム・トレンド成分を除去した上で、改めて完全失業率と回帰させてみたが、この場合、以前のような相関性はみられなくなる。すなわち、この結果を厳格に解釈

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    Itisango 2010/01/11
  • 完全失業率急上昇の「主犯」 - 備忘録

    ※注記を追加しました。(08/31/09) ※稿では、エコノミスト的な「お約束」を踏まえた論説に対し、エコノミスト的な「お約束」を踏まえた立場から批判を行ったつもりです。一方、一部のブックマーク・コメントや稿を引用したサイトの中には、こうした「お約束」を超えた立場からの意見があるようです。そうである以上、これらの意見に対しては、「そうも言えるかもね、で、それがどうしたの?」程度の感想しか持ち得ません。(09/02/09) ※関連して、田中先生のエントリーにコメントしました。(09/03/09) ※エントリーの一部を書き直しました。(11/13/09) 先日発表された完全失業率は5.7%となり、既往最高値となりました。特に注目されるのは完全失業者数の増加幅であり、2009年7月は前年同月差103万人の増加となりました。完全失業者の増加幅が100万人を超えたのは初めてであり、かつ、これまで

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    Itisango 2009/08/30
  • 潜在GDPの試算 - 備忘録

    ある日銀関係者の潜在GDPに関する話が話題になっていたので、試算してみました。*1計算は、GDPギャップを推計する際に比較的標準的に使用される生産関数アプローチによるものですが、各種の仮定をおいた独自推計です。稼働率調整は、非製造業の資ストックを含め可能な範囲で行っています。 潜在GDPは、基的には長期的には高まることになりますが、1990年代に入るとその伸び率は明らかに鈍化し、今回の経済危機では、ついに減少することになりました。そのコンポーネントを詳細にみると、労働、特に労働時間の極端な低下がその主因となっています。ただしこれには、スムージングにHPフィルターを使っていることによる技術的な要因が作用しています。 それはそれとして懸念点ではありますが、現実のGDPの縮小はさらに大きなものです。このような状況では、財政による前例のない需要創出策は必須なものだといえます。*2一方、規制緩和

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    Itisango 2009/08/23
  • ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(2) - 備忘録

    (前回のエントリー) ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(1) 下記の書評翻訳の続きです。*1 ジョセフ・スティグリッツ「倫理的なエコノミスト」(Foreign Affairs 11-12/2005) 半歩の前進と躓き グローバリゼーションの貧困への衝撃に関する議論において、フリードマンは、たとえグローバリゼーションが国内の不平等の拡大と結びついてきたとしても、グローバルには貧困と不平等の削減につながる、との見方を支えてきた。その分析には3つの不備がある。第1は、貧困の定義に関係する。世界銀行が様々な観点から強調しているように、貧困は単に所得の問題ではなく、不安定と声を出すことができないことも、その要素の一部にある。フリードマンの分析は、完全に、これらの次元を無視している。 第2の批判は、何がグローバリズム来の問題とはいえず、特別な政策にともなわれたものなのか、という点に関

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    Itisango 2009/06/21
  • 日本の雇用システムの柔軟性とその弊害 - 備忘録

    ※追記を追加しました。(09/06/10) 先日のエントリーに関連して─というか、「チンピラ」(爆)のことは無視して─日の雇用システムについて、もっとまじめに考えてみることにしましょう。先日も紹介した大内伸哉「雇用はなぜ壊れたのか」から、別の一節を以下に引用します。 しかし、こうした給料の引き下げは、法的にはそれほど簡単なことではない。すでにある給料システムを変更するためには、原則として、個々の社員の同意が必要であるし(労働契約法8条)、就業規則という労働条件を統一的に定めている規則を変更することにより給料を一括して引き下げる場合には、厳格な要件(合理性)を充たさなければならないからである(同法第10条)。 このように給料による調整が困難である以上、解雇まで厳格に規制するのは経済合理性に合わないともいえる。しかし、現在の法的ルールでは、経営上の必要性がある場合の解雇(整理解雇)であっても

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    Itisango 2009/06/09
  • オリヴィエ・ブランシャール「持続可能な欧州社会経済モデルは存在するか?」(2) - 備忘録

    ※追記を追加しました。(09/05/26) (前回のエントリー) オリヴィエ・ブランシャール「持続可能な欧州社会経済モデルは存在するか?」(1) 下記の論文(講演録)翻訳の続きです。*1 オリヴィエ・ブランシャール「持続可能な欧州社会経済モデルは存在するか?」(MIT Department of Economics Working Paper Series) (追記) 通常であれば、この論文の解題および日経済への含意について整理したいところですが、せっかくですので、読者の方それぞれに考えていただけたら幸いです。あり得べき議論について、自分なりに補助線を引くと、次のようなものになります。 欧州モデルが備えるべき「3つの支柱」とその意味、また、それぞれの視点からみた欧州経済の現状と課題。 日の雇用政策の現状と課題(特に、基金の側面から)。 ハローワークの民営化に関する現在の議論と、ブランシ

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    Itisango 2009/05/26
  • 雇用が先か、消費が先か - 備忘録

    04/03/09付エントリーでは、次のように記載した。 消費の増加は、一般的には、雇用の改善に働くことになるので、こうした動きも、雇用調整圧力に対する反動効果を持つものです。 かつて経済指標を頻繁にみていたときは、消費は雇用に先行して動くという印象を持っていたため、無意識のうちに上記のような記述をしたのだが、よく考えてみると、生産の拡大が雇用の拡大につながり、その結果マクロの所得が好転して消費が拡大する、という因果関係のほうがもっともらしい気もしてくる。 そこで、実質民間最終消費支出と就業者数の動きをグラフ化すると、下のようになる。ただし、データは四半期平均で、就業者数は季節調整値、実質民間最終消費支出は定数とタイムトレンドによる単純回帰によりトレンドを除去している。*1 これによると、1997年4月の消費税率の引き上げを前にして消費は大きく増加したが、引き上げ後は急激に減少し、引き上げ前

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    Itisango 2009/05/06
  • いまあえて、完全失業率がそれほど悪化しない可能性を考えてみる - 備忘録

    雇用情勢については、昨年末からの実質GDPの急激な低下と、それがV字型に急回復する可能性が低いことを受け、2009年度以降、急速に悪化することが予測されています。この点については、3月末の経済財政諮問会議における岩田一政議員の「どう考えても7%程度に上がっていく」という発言が注目を集めました。*1こうしたことから、完全失業率が既往最高水準にまで悪化することを防ぐため、政府においても、新たな経済対策が策定されたようです。 http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10240020696.html その一方で、これまでのところ、完全失業率の悪化は限定的なものとなっています(2009年2月で4.4%、既往最高水準は2002年6月等の5.5%)。生産関数アプローチから短期的に考えれば、有効需要の低下に応じて雇用量は調整されるので、完全失業率は今後急速に悪化するこ

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    Itisango 2009/04/14
  • 駒村康平「大貧困社会」 - 備忘録

    貧困社会 (角川SSC新書) 作者: 駒村康平出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ発売日: 2009/01メディア: 新書購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (28件) を見る 「大貧困社会」とは何を意味するのか。冒頭の記述をみると、これから到来することが予想される経済の長期的な低迷や、ロストジェネレーションの中高年化によって、我が国の貧困率が大きく拡大することを意味しているようだ。むろん、その根拠は薄弱なものであるが、一方で、いまの時代が我が国の行く末を考える岐路にあることは間違いなさそうである。書の大きなテーマも、そのことに関係している。つまり、我が国はこれから「大きな政府」を目指すのか、あるいは「小さな政府」を目指すのか── さまざまな批評をみると、書は、データを多用し実証的であることに高い評価が上げられている。このテーマについても同様であり、社会

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    Itisango 2009/02/24
  • 経済指標からみた米国経済と「流動性の罠」 - 備忘録

    の雇用情勢についてひととおりの見通しを行ったので、つぎに、米国の経済情勢についてみておくことにします。昨年11月に掲載した下のエントリーを更新しますが、今回は少し長いスパンをとっています。 http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20081127/1227792848 インフレ率と完全失業率 まずは、インフレ率と完全失業率です。 ここで注目されるのは、完全失業率の足許における急上昇です。一方、インフレ率は、1990年代以降の低下傾向が続いており、足許では、景況の悪化によってさらに低下することが懸念されています。インフレ率が低水準にある中で完全失業率は急騰しており、こうした状況においては、総需要喚起的な政策をさらに進める必要があるといえそうです。*1 金利と為替 つぎに、金利と為替レートについてみておきます。 長期金利は、これまで、金利水準が国際的に収斂するなか

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    Itisango 2009/02/13
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