本稿について 日本通運は2023年7月12日、アクセンチュアを相手取って東京地方裁判所に提訴した。訴訟額が124億円と膨大な額であることで注目を集める本件(注1)には、「ITシステム開発で起こりがちなトラブルを回避するために知っておきたいポイント」が幾つか含まれている。 そこで、SIerのプロジェクトマネジャー(PM)としてシステム開発に長年携わってきた室脇慶彦氏が、本件の根底にあるシステム開発における日本独特の商慣習や、SIerとユーザー企業との関係について自身の見解を述べる。 あらかじめ断っておきたいのは、本稿で考察する内容には、事実と異なる可能性のある推論が含まれているということだ。本件は判決がまだ下りておらず、両社の主張に隔たりがあることから、現時点で「何が起きたのか」を正確に把握するのは難しい。 さらに、ソフトウエア開発では工程の定義すらも標準化されていない。そのため、同じ用語で