批評時空間 佐々木敦 ジャン=リュック・ゴダール、チェルフィッチュ、アルヴァ・ノト、飴屋法水、ジョナス・メカス、吉増剛造、クリント・イーストウッド――。映画、演劇、音楽、写真など、さまざまな分野の作品が生まれる場所に立ち、震災後の著者の、そして私たちの心の動きに寄り添いながら、芸術表現のありようを凝視し思索する12の論考。 ISBN:978-4-10-332891-9 発売日:2012/10/31 感動的な本である。混乱している本である。 そのどちらも、ある一点から発している。すなわち「二〇一一年の三月十一日に、のちに東日本大震災と呼ばれる災害があった」ことを無視しなかった、ということ。無視しないという態度はむずかしい。この日に対して、あるスタンスを取る人は、つねに他の人間のスタンスを意識する(または想定する)必要が、結局のところは強いられている(あるいは強いられてきた)からだ。