「生」と描かれた川の中洲(なかす)の不思議な石積み――。 来年映画化される作家有川浩(ひろ)さん(兵庫県宝塚市在住)のベストセラー小説「阪急電車」に登場する造形物が、実在したアートだったことが作者の現代美術家、大野良平さん(51)(同)と有川さんの対談で明らかになった。アートは4年前に消滅したが、大野さんは今も阪神大震災を追悼するアートを手掛けている。大野さんは「アートは、まちや心の再生など様々な意味を込めた。いつか再現できれば」と話している。 ◇ 電車が武庫川に架かった鉄橋を渡る。 「あ?」 思わず声が漏れた。鉄橋を渡り終える寸前の川の中洲に 『生』 (中略) バランスといい大きさといい、見事なまでのオブジェとなっている。 ◇ 「生」の文字は、主人公の征志が電車内で「彼女」を観察している場面で登場する。造形か、イタズラか。何かのメッセージか、祈りか……。2人が「生」の解釈を巡り、お互いの