中学2年で一度陸上をやめた連。中学時代でサッカーに見切りをつけた新二。春野台高校陸上部にこの二人が入部した・・・。走ることの楽しさすばらしさを、見事に描ききった作品。 「走る」ということの陰に、こんなにさまざまなドラマが隠されているとは!とても感動的だった。フォーム、持久力、スタートダッシュ、レースのペース配分など、考えなければならないこと、やらなければならないことはたくさんある。レースには自分のすべてを注ぎ込まなければならない。大会の様子は、読んでいてまるでその場に行って実際に見ているみたいにドキドキした。特に4継(よんけい)と呼ばれる400mリレーの描写は圧巻だった。一人一人が速く走るのはもちろんだが、勝負を左右するのはバトンワークだ。4人の気持ちがひとつにならなければ勝利はつかめない。彼ら4人が風になったときは、「やったー!」と叫びたくなった。読後もさわやか。心に残る作品だった。