ブックマーク / kihiminhamame.hatenablog.com (681)

  • 馬喰町の宿に帰る ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 月麿画《つきまろが》 十返舎一九戯著《じつぺんしやいつくぎちよ》 二人ハ、一日見物して歩き、日も暮れければ、吉原《よしわら》限りに、また、両国《りやうごく》から五百羅漢《ごひやくらかん》、亀戸《かめゐど》、向島《むかふじま》、其の外《ほか》、王子《わうじ》、雑司ヶ谷《ぞうしがヤ》、堀ノ内《ほりのうち》ハ、此の後編に見物すべしと、先《ま》づ、馬喰町《ばくろてう》の宿へ立ち帰りける。 「さて/\、今日ハ芝屋さあの看板のう只《たゞ》見て来る。 吉原じヤア、御洒落《おしやらく》さあと行《い》き合《や》つて、手さあちくと触つて来る。 貝回《ばいまわ》しが気の違ハ無い内に、逃《ぬ》げて来る。 道/

    馬喰町の宿に帰る ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/04/03
    延高と千久羅坊の二人のドケチ加減は筋金入りのようですね。知名度がないのが残念ですが、金草鞋は東海道中膝栗毛に匹敵する名作だと思いますし、十返舎一九が20年以上も書き続けたというのも納得がいきます。
  • 新吉原 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 新吉原 聖天町《しやうでんまち》より土手へ上がり、日堤《にほんづゝミ》を真つ直ぐに、吉原に入れば、早ヤ火点《ひとも》し頃、中之町《なかのてう》の茶屋、掛け行灯《あんどう》、一様に点《とも》し、夜店にハ弾き立つる菅掻《すがゞき》の三味線《さミせん》、人の心を浮かし、二人共夢中となり、見る物毎《ものごと》に珍しく、矢鱈《やたら》に其処《そこ》らを覗《のぞ》き回りて、 狂「御洒落《おしやらく》ハ 買ひたいけれど 銭《ぜに》惜しや 見たばつかしで 吉《よし》[止《よ》し]原にせう 延高 「コリヤ、はあ、田舎の御洒落さあとは、でかく違い申すハ。 あの文《ふミ》さあ書いて居めさる御洒落さあハ、幾

    新吉原 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/04/03
    男性の夜の快楽は今も昔もさほど変わりがないように思います。花魁を見ているだけで満足な延高さん一行の行動は、何だか「いい匂いでけでご飯を何杯でもお替りできる」お話とダブって見えて、ちょっと滑稽でした。
  • 待乳山聖天 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 待乳山聖天《まつちやましやうでん》 観音の境内を隅《すみ》/゛\まで回りて、矢大神門《やだいじんもん》を立ち出で、真つ直ぐに聖天町《しやうでんてう》と言ふに到り、此の所に待乳山《まつちやま》の聖天に参詣する。 大川筋目の下に有りて、至つての景地《けいち》なり。 狂「供へたア 大根《だいこ》人参 ばかしなり さてハ聖神《しやうじん》[精進] 様のお宮か」 案内 「もし、今日ハよつほど歩き申した。 是から吉原《よしハら》を見物なされて、もふ御宿へ帰りませう」 「その吉原たア、御洒落《おしやらく》の有る所《とこ》だア。 もし、己《うら》も今度御江戸さあへ、つん出来たもんだアから、吉原の御洒落

    待乳山聖天 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/03/26
    浅草にはかなり行っている方ですが、待乳山聖天はまだ行ったことがなく、今回のお話で浅草へ行く機会があれば是非にでも行ってみたいです。駕籠舁と旦那の会話、悲しい哉現在でもこのような話はよくありますね。
  • 浅草観音 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 浅草観音《あさくさくハんをん》 御門跡《ごもんぜき》を出て、田原町《たハらまち》通りを真つ直ぐに、広小路に差し掛ゝれバ、女川菜飯田楽《めがわなめしでんがく》の茶屋、建て続き、往来を呼び立つる。 雷門を過ぎて、観音の御堂《おどう》へ着きけるに、参詣の人、群衆《くんじゆ》しければ、 狂「虱《しらみ》程 ぞろり/\と 這ひ出来て 人《ふと》さあ参る 千手観音」 案内 「サア/\、是から奥山へ行つてみませう、おいで/\」 「何《あに》、鹿でも居申すか、奥山と言ひ召さるから」 案内 「何《ナニ》、鹿ゞ居るものか、豆蔵《まめぞう》が居ヤすから、見なせへ」 「何《あに》、はあ、豆蔵が居るもんだア、御

    浅草観音 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/03/26
    延高・千久羅坊コンビと案内人さんとの話がかみ合わない頓珍漢な会話は面白かったです。当時の浅草界隈は大道芸や見世物小屋などで賑わっていたようで、その雰囲気は何とはなくですが現在の浅草にもあるようです。
  • 東本願寺 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 山下通り車坂の下、亀屋と言ふ奈良茶屋の前より、右の方へ真つ直ぐに行《ゆ》くと、三国一《さんごくいち》と言ふ甘酒の看板有るを、千久羅坊見るより、 「此処《こゝ》さあに、三国一《みこくふとつ》と書いてあらア、何《あん》だんべい」 案内「あれハ甘酒さ」 「甘酒たア、飯《めし》で拵《こさ》へた酒の事《こん》であんべい。 其れを三国一《みこくふとつ》と言ひ申すか。 我意《がい》にさあ、長つたらしい名で御座らア。 儂共《わしども》の国さあでハ、鍋尻餠《なべじりもち》の突つ突き潰し酒と言ひ申すハ、ハヽヽヽヽ」 ●其れより御堂《みどう》へ参るに、近頃、御造営成就して、結構なり。 狂「空さあへ 届く御堂

    東本願寺 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/03/26
    このお話での庶民の会話は洒落の効いたものや現代でも通じるものもあってなかなか興味深いです。当時の三国一とは国際的なものではなく日本の地域だと思っていましたので、三国が日本・中国・インドとは驚きです。
  • 山下 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクション ※損傷個所は可能な限り修正しています。 【原文】 下の巻 山下 弁天を出て、山下に掛かりければ、此処《こゝ》にハ芝居、軽業《かるわざ》、浮世物真似《うきよものまね》、色/\の見世物有れば、群衆《くんじゆ》の中、押し分けて行《ゆ》くに、豆蔵《まめぞう》、抜き身を呑むを見て、二人ハ肝を潰し、 「アレ/\、見なさろ。 抜き身さあ、くん呑むそふだア。 あれさあ呑んだら打つ死《ち》ぬべいに、放題も無い人《ふと》だア、もし」 案内 「抜き身どころか、江戸にハ家蔵ハ疎《おろ》か、地面抱へ、屋敷までも皆呑んでしまう人ハ、幾《いく》らも有る」 延高《のびたか》 「飛んだァ事を言ひ召さらァ。 そんなァ者《もん》が有んとして、くん呑まれべい。 今にあの人《

    山下 ~『金草鞋』初編下巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/03/26
    この作品は江戸庶民の風俗の描写が描かれており、貴重な資料ではないかと思います。見世物小屋で武士と町人が仲良く見物している姿は士農工商の身分制度が厳しかった現在の歴史観に一席を投じるのかと思います。
  • [まとめ]『金草鞋』初編中巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ストックしてあったネタが尽きたので、つなぎとして『金草鞋』の続きを読もうと思います。 全てお応えできるかは分かりませんが、次に取り上げて欲しい作品などのリクエスト、お待ちしています。 これまで、初編中巻の最後まで読んだみたいなので、次回から、初編下巻を読むことになります。 とりあえず、今回は中巻のまとめをどうぞ。 kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminham

    [まとめ]『金草鞋』初編中巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/03/26
    十返舎一九の下ネタ全開の物語ですね。改めて読み直してみました。昔の地図も掲載されており、地図が好きな私にとってはとても良かったし、昔この近くにはよく出かけたりもしたので懐かしい気持ちになりました。
  • [まとめ&おまけ]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    「水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~」のまとめです。 kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com おまけとして、水戸黄

    [まとめ&おまけ]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/27
    今回も一気読みで楽しませていただきました。馬子にも衣裳と言えば失礼になりますが、紫の羽織を三つ目さんの黄門様はどことなく貫禄がある様に私には見受けられます。お供の助さん・格さんも洒落が効いていますね。
  • [12完]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    この話を取り上げる際、今回使用した写以外にも、ほかの『義公黄門仁徳録』の写をいくつか見たのですが、どれも今回紹介した写とほぼ同じ文章でした。 ただ、今回使用した写は、ほかの写と比べて誤字が多かったですが(笑) ※こういうブログ等で使用できる写には制限があるので、誤字が多い写を使わざるをえなかったのですよヾ(๑╹◡╹)ノ" ところが、明治時代に『水戸黄門仁徳録』というタイトルに改めて出版されたものは、今回紹介した写と内容はほぼ同じなのですが、別系統の写を使用したのか、出版の際に書き直したのか、今回紹介した写に比べて、文章がだいぶ分かりやすくなっています。 実は、明治時代の『水戸黄門仁徳録』では、老人のセリフで死骸について述べられているのです。 その個所を読んで、このお話は完結ということにしましょう。 国立国会図書館デジタルコレクション 【現代語訳】 「黄門よ、そんなに気性

    [12完]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/27
    写本のタイトルが仁徳となっていますので、このお話は神様が賢人として得意になっている黄門様の心の驕りを緩やかに諭され、黄門様を思いやって藪の中にいることを止めた家臣を大切にということなのでしょうかねえ
  • [11]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 両手を伸べて義公様を捕らへ、目より高く差し上げたり。 義行様も差し上げられながら、御刀を抜き給ひ、 「無礼な奴」 と仰せながら、切り付け給ひバ[給へバ]、其の儘《まゝ》取つて投げつけられしに、義行様、矢張《やは》り以前の薮の中に立ち給ひ、風の音のミ木霊《こだま》に残り、時刻も然《さ》のみ経ちたる躰《てい》にも非《あら》ず。 四方を見渡し給ひど[給へど]、只一面の薮にて、少しも怪しき事ハ無し。 此処《こゝ》に於《お》ゐて、初めて御心付き給ひ、 「此の薮ハ八百万神《やほよろづのかみ》住み給ふ、神の森なり。 後/\決して人の出入りも禁制致すべし」 と有つて、薮の外へ出給ひバ

    [11]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/27
    黄門様も無事に元の場所に戻れて良かったですね。江戸にほど近い場所で、このような禁足の地があるのは驚きです。それにしても神様の行いとは思えない死体の山の正体は一体何なんでしょうねえ?気になります。
  • [10]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 當時天下の愊將軍、水戸 従三位《じゆさんみ》、前《さき》の中納言 光圀《みつくに》、是へ来たるに、社壇に一人眼を閉じ、我へ対して無礼な奴。 さあ、先《ま》づ直《す》ぐに性名を名乗り、是なる死骸の有様も定めて存じつらん。 一/\此の黄門に語り聞かすべし。 異義に及ハゞ、一刀の下《もと》に命を立たん。 返答致せ」 と仰セ有り、御柄に手を掛け給へバ、彼の翁、ちつとも動ゼづ、経文を読ミ終《しま》、暫《しばら》く有つて目を開き、 「黄門、然《さ》のミ強氣を出し給ふな。 元より汝が来ることハ疾《と》く知りたり。 此所《ここ》ハ元、天にも地にも無く、中宙《ちうう》ニ無く、世界にも無

    [10]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/27
    何処かで聞いたことがあるちらほらと文言が出てきたので、解説を読んでみるとまさかの法華経の登場とは!!とても意外でした。法華経が出てくるということは黄門様は日蓮宗と何か縁があるのでしょうか?
  • [9]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 傍らを御覧有るに、人の屍《かばね》山の如く積ミ上げ、中にハ未だ生/\しき有れバ、曝《しや》れたる骨等 夥《おびたゞ》しく、手足を引き抜きたる様《やう》なる死骸有れバ、首の無き骸《むくろ》も有り。 其の臭き事、例ふるに物無し。 義公様も其の臭気の甚《はなハ》だしきに、御鼻を覆ひ給へ、彼方此方《あちこち》と御覧有るに、此方《こなた》にハ女子の骸ばかり累《るい》/\と積ミ上げ有り。 又、正面宮居の前《まい》にハ、凡《およ》そ長さ壱尺弐三寸も是有ると思しき剱を飾り、征代将軍万代不易《せいだいしやうぐんばんだいふえき》と言ふ八字の大額を掛け、左右に供物を供へし躰《てい》、宛《さ

    [9]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/13
    いよいよラスボスの登場ですね。白髪の老人とは意外でしたが、どういう結末になるか次回が楽しみです。それにしても目の前に死体の山を目にしても動じないのは、さすが天下の副将軍だけあって貫禄が違いますね。
  • [8]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 是によつて、暫く岩に御腰を掛けられ、御休足《ごきうそく》有つて、八方を御覧あるに、左りの方に、夥《おびたゞ》しく生い繁り、木の間より微《かす》かに見ゆるか見へぬかと言ふ程に、燈《ひ》の光り立ちければバ、 「扨《さて》こそ此所《ここ》彼《か》の変化の棲家《すみか》にて有るべし」 と思《おぼ》し召しけれバ、杦《すぎ》の繁ミを彼方此方《かなたこなた》と御歩行有るに、是よりは更に道と言ふ物無く、蔦葛《つたかづら》に御手を掛けられ、或ひハ木の根を攀《よ》ぢ登り給ひ。又ハ冷水の流れを渡り給ひ、熊笹の生い繁りたる事、弥《いや》が上に重なり、御足を痛め給へ、誠に千辛万苦《せんしんばん

    [8]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/06
    いよいよ黄門様は化け物の本殿に向かうことになるのですね。黄門様の命運は如何に?続きが楽しみです。八幡様は源氏の血を引く徳川家の守り神なので、何しかしらの縁が黄門様を導いたのではないのかと思います。
  • [7]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 俄かに一天、掻き曇り、只今まで白昼なりしに、真の闇となりて、更に物ゝ何色かも分からずと雖《いへど》も、物に動じ給わぬ御氣性故、御足に任せられて進み給ふに、暗くて定かに知れねども、一方《いつぼう》壱丈《いちぜう》ばかりも有らんと思しき洞穴《ほらあな》の様《やう》なる穴有り。 世の常の者ならバ、是に恐れて立ち帰りもすべきに、義公様御めづ[怖《お》めず]臆せづ、其の穴の内へ入り給ふに、壱間《いつけん》ばかりも行《ゆ》く様《やう》に覚へ給ふに、凡《およ》そ深さ三、四丈程も有るべくと思し召す程に、穴の底へ落ち給ひ、暫《しばら》く御心も付かざりしに、稍《やゝ》二時《ふたとき》計《

    [7]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/02/01
    辺りが突然暗くなり、化け物が出てくるような気配にもかかわらず、突撃するとは、黄門様さすがです。やはり現在のドラマ同様に史実でもやはり豪傑だった事がうかがわれますね。10㍍下の穴に落ちても平気とは凄い!!
  • [6]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 御家臣の面〻、何《いづ》れも「如何なり給ふ事や」と、心も心ならず、差し控へ居たりけれども、何れも評義して申す様《やう》、 「たとへ御𠮟りを被《かふむ》るとも、此の侭《まゝ》に打ち捨てゝおくべき事に非ず。 我/\御跡を従ひ奉り、御様子を見届けずんバ、臣たる者ゝ道、立つべからず」 と申しけれバ、何れも「尤《もつと》も」と同意して、藪の中へ入りしに、巡り/\てハ元の處へ出たり。 「是、如何なる事ぞや」と、又、藪の中へ入りしに、巡り/\てハ元の所へ出たり。 此の事、都合 四度《よたび》に及びけれバ、何れも目と目を見合わせ、呆れ果てたる計《ばか》りにて、 「詮方《せんかた》無

    [6]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/16
    ついに黄門様が藪の中へ!!八幡知らずの主は入る人を選別するところが凄く、選別された黄門様も池の水がなくなっても動揺しない胆力の持ち主なのですね。黄門様はどうなっていくのか、次回が楽しみです。
  • 新年のごあいさつ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    年もよろしくお願い申し上げます。 今年もよろしくね~ヾ(๑╹◡╹)ノ" 三つ目のLINEスタンプ、発売しました! store.line.me 水戸黄門(1978年) 東野英治郎 Amazon 水戸黄門(1960年) 月形龍之介 Amazon 徳川光圀―「黄門さま」で名高い水戸藩主 (日史リブレット人) 作者:鈴木 暎一 山川出版社 Amazon 水戸黄門漫遊記 (よみがえる講談の世界) 国書刊行会 Amazon 水戸黄門「漫遊」考 (講談社学術文庫) 作者:金文京 講談社 Amazon ◆北見花芽のほしい物リストです♪ いただいた商品のレビューはこちら♪ ◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪ (はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます) ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪ にほんブログ村 江戸時代ランキング

    新年のごあいさつ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/03
    あけましておめでとうございます。こちらは三つ目さんのバニーガール(ボーイ?)姿なのですね!?新年からドキドキです!!いつも面白くてためになるお話をありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
  • [5]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 然《さ》れバ、予は家臣を召し連れず、従三位《じゅさんミ》中納言の威光を以て、たとへ変化《へんげ》の物たりとも見顕《みあらは》さんに、何程の事やあらん。 殊にハ爰《ここ》も日の内なり。 天下福大将軍の予が、今此の奥を見極むる事に、誰有つて咎《とが》むる事の有るべき様《やう》無し。 可惜《あつたら》家臣を失なわんより、予、直に入りて、変化の物に逢ひなば問答して、彼《かれ》問答に負けなバ、此の所を焼き尽し、怪しミを裂く[離く?]べし。 天下の内、何ぞ正法《しやうぼふ》に不思議有るべきや」 と、宣《のたま》ひて、更に御承引の躰《てい》も見へざりけれバ、御家臣の面/\、何《い

    [5]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/03
    やはり部下の制止を振り切って藪の中に入ってしまったのですね!!ご老公のこれからが心配です。ご老公自ら「天下の副将軍」を名乗っていたのですね!これには驚きで、私もこれはTBSが作ったものと思っていました。
  • [4]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 其の方達は、此の所に留まり、我が帰るを、待ち受け申すべし」 と仰せ出され、何《いづ》れも目と目を見合わセ、暫《しバら》く御返答申す者も無かりしが、松平主膳《まつだひらしゆぜん》、林田舎人《はやしだとねり》、口を揃へて申し上げる。 「成程、君の仰セの事、御尤《ごもつとも》にハ候へども、仮にも大切の御身を以て、古《いにしへ》より人の入る事、禁制をセし所へ入り給ひ、もしも凶事《きよじ》にても是有り候ひてハ、我/\御館へ對シ奉り、何とも申し訳、是無く候まゝ、先《ま》づ此の義ハ御止《おんとど》まり下さるべし。 また、愈《いよ》/\此の奥を定め給ふ思し召しニ候ハゞ、建久の仁田《に

    [4]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/03
    ドラマと同様に部下思いのご老公様ですが、やはり組織の視点では上に立つ人間にまさかのことがあってはならない部下たちとの駆け引きは現代社会にも通じるものがあり、今回のお話は大変興味深く読みました。
  • [3]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 殊《こと》にハ、夜中に及びても、たとえ闇夜たりと言へども、藪の内明るき事、白昼の如く。 然《さ》れども、夜八ッ頃と思しき頃ハ、真の闇にて、一向に道も知れず。 稍《やや》一時《いつとき》程も経ちて、又明るき事、昼の如し。 然《さ》れば此の浄念、其の暗きを以て夜と知りつゝ、只一心に佛名を唱へて、斯《か》くの如く元の道へ出るたるハ、甚《はなは》だ訝《いぶか》しき事なりと思い、其の邊のと或《あ》る一家へ立ち寄り、右の始末一/\物語りけれバ、宿の主《あるじ》申す様《やう》、 「其れハ、此方《こなた》ハ、命を拾へ給ふ物なり。 昔より此の藪へ入りし者、再び生きて返りし者も無く、又ゑ

    [3]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/03
    ご老公様も子供のような好奇心があったのですね。藪の中に入って帰ってこれなかった人はどうなったのでしょうか?昔見たTVドラマの中の彷徨えるインド人のようにその空間を永久に彷徨い続けるのでしょうかねえ?
  • [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日古典籍総合データベース 【原文】 其の事の元を尋ぬるに、古《いにしへ》、鎌倉天下の時分に諸國行脚《しょこくあんぎや》の僧に釈《しやく》の浄念《じやうねん》と言ふ者有り。 此の者、元来、大和の國、添《そう》の上郡《かみこおり》春日《かすが》の里の生まれにて、幼《いとけな》きより佛道に心ざし、十八才の時剃髪して、諸国の霊場を巡礼し、三十一才の時、此の八幡《やはた》に来たり。 八幡宮《はちまんぐう》を伏し拝ミ、其の頃ハ一向《いつかう》道も無く、彼方此方《あなたこなた》と竹藪の間を通り抜《ぬ》け、鉦《かね》打ち鳴らしけるに、僅《わづ》かに半道《はんみち》ばかりの竹藪の内を、日数十五日の間、経巡《へめぐ》り歩き

    [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2023/01/03
    「八幡の八幡知らず」という場所は知っていましたが、この地が現在でも禁足地というのも驚きです。ただもしこの薮に入ったらどうなるんだろうと好奇心はあります。最もこの好奇心が子供を魅了するのでしょうね!?