東日本大震災の地震で被災した仙台市青葉区の雑居ビルを巡り、同市の冠婚葬祭業清月記が2012年3月に東京の男性から購入した際、自前での解体を前提に売買契約したにもかかわらず、実際は全額公費で解体していたことが25日、分かった。契約2日前にビルの被害認定が「半壊」から公費で解体できる「大規模半壊」に引き上げられており、清月記側だけが情報を知りつつ契約を結んだ疑いもある。男性は損害賠償請求訴訟を提起する方針。 雑居ビルは鉄筋コンクリート7階建てで、土地面積は約690平方メートル。震災で天井や壁が損壊し、男性は11年6月、市に罹災(りさい)証明の発行を申請して「半壊」の被害認定を受けた。 男性側によると、ビルと土地の評価額は計約2億円。清月記は「解体費がかかる」として1億3100万円で購入を打診した。菅原裕典社長が12年1月26日に購入を申し込み、同年3月29日、1億3500万円で売買契約を結んだ