記事:明石書店 『暴力のエスノグラフィー――産業化された屠殺と視界の政治』(明石書店)と原書『Every Twelve Seconds: Industrialized Slaughter and the Politics of Sight』(Yale University Press) 書籍情報はこちら 驚きの一冊 研究者として様々な本を読んでいると、時に「まさか」と思うような本に出会うことがある。それは、自分が決して思いつかなかったようなテーマについて、絶対に真似をできないような手法で書かれた本だ。アメリカの政治学者ティモシー・パチラットの『暴力のエスノグラフィー』は、まさにそのような「まさか」の本である。数年前、本書の原書である『Every Twelve Seconds』 (Yale University Press, 2011)を初めて手に取ったとき、私はその一風変わったタイトルにま