「『ああ言えばこう言う』という状況が続いている」――。 静岡県内におけるリニア中央新幹線の工事をめぐる県とJR東海の協議について、静岡県島田市の染谷絹代市長が苦言を呈した。 リニアは南アルプスの地中を走る。静岡県内に駅は設けられず素通りするのみだ。このため、リニアが開通しても県が恩恵を受けることはない。逆に、もしトンネル工事中に大量の湧水が発生して大井川の水量が減るような事態になると、中下流域の利水者の生活を脅かしかねない。メリットはないのにリスクはある。その意味で、大井川流域の関係者がリニア工事に慎重な態度を取るのはもっともだ。 県とJR東海はトンネル工事中に県外流出する湧水の全量を大井川に戻すことで合意している。しかし、全量を戻すための設備が完成するまでの期間は湧水の県外流出が避けられない。県はその流出分についても大井川に戻せとJR東海に迫っている。 大井川流域市町はどう考えているか