この文章は,2014年4月20日発行のウェブマガジン「αシノドス」に寄稿した論考の要約版です。 編集部の許諾を得てこちらに転載します。 ◇国内イスラム教徒の公安捜査資料流出事件私たちの生活領域は次々と電子化されている。急激に、そして着実に、記録され、集積され、統合され、そして分析される生活が日常となりつつある。 それは同時に、人類の歴史の中でかつてないほど、高度に監視システムが発達した社会、そして私的な領域への監視が可能な社会の到来をも意味している。高度な情報化社会の裏側には、高度な監視社会の陰がある。 日頃の生活の中で私たちは、情報化社会のそうした陰の部分を目にすることはほとんどない。 そんな陰の部分が垣間見えたのが、二年前に発覚した警視庁公安部の国内イスラム教徒に対する捜査資料の流出事件であった。 この事件は発覚当初、新聞やテレビ等でも大きく報道されたので、ご記憶の方もおられるかもしれ