【ウィーン樋口直樹】セルビアとコソボは8日、08年のコソボ独立宣言以来初めて、高官級の直接対話をブリュッセルで始めた。英BBCが伝えた。セルビアは自国からのコソボ独立を認めていないが、欧州連合(EU)の仲介で対話が実現した。両国は今後、コソボの国際的地位など困難な問題を先送りしたまま、交通や通信など市民生活に直結する課題を中心に協議を続ける。 ロイター通信によると、EU当局者は直接対話の目的について「バルカン地域の生活改善と相互協力の向上を図り、欧州基準に向けて引き上げるためだ」と述べた。相互に対立するセルビアとコソボだが、早期EU加盟という共通の目的に向けて、どれだけ歩み寄れるかが焦点だ。 アルバニア系住民が多数を占めるコソボは、90年代の旧ユーゴスラビア崩壊に伴い、セルビアからの分離独立を図った。北大西洋条約機構(NATO)を巻き込んだ紛争では、1万人以上が死亡、数十万人が故郷を追われ