ちょっとした切っ掛けがあって、昔の日記を読み返した。やたらとエモい文章を前に、恥ずかしいような、切ないような、懐かしいような、何とも言えない気持ちになった。 そこには嘘偽りないそのときの本当が書かれていた。あなたでなければいけない、別の誰かでは駄目なのだ、あなたがいない人生なんてただの地獄だ。その言葉はすべて本心で、本当で、思い込みでも誤解でも何でもないただの真実で、だから言葉がやたらと重たくて、あのときのことを思い出してしまって具合が悪くなりそうだった。 ただ、僕はもう、その言葉が真実であった世界に暮らしてはいない。あれほど大切だったあのひとのことを、いまの僕はなんとも思っていない。恨んでも憎んでもいないし、好きでも嫌いでもない。ただどこかで元気でいてくれればいいな、と思っている。それは僕の人生において少しでも関わりを持ったひとみんなに対して抱くような、人類愛的な優しさの発露に近くて、そ