日本生まれの農産物なのに商標権侵害で中国に訴えられる-。冗談のような話だが、今そこにある危機なのだ。岡山では近年、モモやブドウの県産ブランドについて、中国や香港、台湾での商標出願を加速させている。背景には、日本生まれの農産物が海外で無断で商標出願されたり、品種が海外に流出、栽培されて流通したりする被害が相次いでいることがある。「権利は取られる前に、先に取りに行くことが大切」。国内の農業関係者は真剣に危惧している。 ■逆に訴えられる? 1房(700グラム)で5千円以上の高値をつける岡山名産の高級ブドウ「晴王(はれおう)」。品種は「シャインマスカット」で、マスカットのようなひすい色の粒と芳醇(ほうじゅん)な味わいが特徴で、種なしで皮ごと食べられる。 この晴王について、国内商標を持つJA全農おかやま(岡山県)は平成29年~30年にかけ、中国、香港、台湾の3カ所で「晴王」の商標出願を行った。29年