タグ

ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (75)

  • 増税で消費は増えるかの調査 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の日経は、モニター調査がおもしろかった。それも、1面の一番下の最後に、付け足しのように書かれてある部分がね。そこには「消費税で55%が生活切り詰め」と書かれてある。「庶民」からすれば、調べなくても分かるようなものであるが、エリートにとって、都合の悪い結果である。 「消費税を上げれば、国民は将来に安心して消費を増やす」という説が、まことしやかに喧伝されている。筆者は、これでも経済学徒なので、価格が上昇すれば、消費は減るという価格メカニズムを信じているし、所得を削ったら、消費は減るものと思っている。こうした経済学の根幹に反する現象が起こると主張するのなら、余程、強いエビデンスを出してもらわないといけない。 日のエリートに蔓延するこの説の検証は、難しいことはなく、「安心して増やしますか?」というアンケート調査をすれば良いだけだ。それを日経がしてくれたというわけである。もちろん、エリート

    増税で消費は増えるかの調査 - 経済を良くするって、どうすれば
  • サルから見た消費税(終) - 経済を良くするって、どうすれば

    ………消費増税の合意の意味 消費増税の合意が成り、日経済は需要ショックの爆弾を抱え込むことになった。これを前提に経済運営の舵取りをするのは、正直、筆者でも難しい。それを、海外の識者から「景気対策が世界で最も下手」との誉れを取る日の財政当局がするわけだから、不安にもなろうというものだ。 3党合意の中では、ショック緩和のため、国土強靭化の公共事業まで打つようである。野心的な一気の3%アップを狙うから、余計な財政出動まで必要になる。今の財政当局は、経済界の賛成を得るため、法人減税を約束し、税収に穴を開けてもいる。財政再建よりも消費増税が大事らしく、もはや「宗教」の域である。 経済運営を知らない日の識者に、財政当局は「憂国の士」に見えるかもしれないが、野心的な増税は、経済的にも、政治的にも極めて拙劣なものだ。せめて、駆け込み需要と反動減を均すため、住宅や自動車などへの消費増税は、半年遅らせる

    サルから見た消費税(終) - 経済を良くするって、どうすれば
  • サルから見た消費税(2) - 経済を良くするって、どうすれば

    もし、筆者が財政運営の衝にあったとしたならば、次のような戦略で行く。まず、最低限の増税ラインとして、2年に1%のペースで消費税を上げていくことを決定する。これは、毎年、高齢者の増加による社会保障費の自然増が1兆円程度見込まれるからである。この増税ペースの意味は、財政赤字の幅を今以上に拡大させないということである。また、歳出増と税収増がパラレルであるから、財政が経済にデフレ圧力をかける心配がない。 この戦略は、二重に安心である。つまり、財政赤字を拡大しないという意味で、財政破綻のリスクを軽減することになるし、経済成長を阻害しないという意味で、財政赤字のGDP比の急速な悪化が避けられるからだ。欧州の教訓は、財政赤字の拡大は放置できないが、緊縮財政で成長を失速させてしまうと、かえって危機を深めるということだった。これに学ばなければならない。 二つ目の戦略は、プライマリー・バランスの回復に向け、自

    サルから見た消費税(2) - 経済を良くするって、どうすれば
  • 日本の新常識という喜劇 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の経済教室は世代間格差だ。それは単なる思い違いにしか過ぎず、世代間で少子化に差のあることの反映にしか過ぎないのだが、日社会の「新常識」として、すっかり定着してしまった。少子化のない米国の理論を直輸入したがゆえの「喜劇」だね。 それが、いかにバカげたものかは、11/28「世代間の不公平を煽るなかれ」や、12/3「世代間負担論の到達点」を読んでもらえば分かる。こんなものがはびこる日って、どういう社会なのだろう。財政当局が掲げ、日経が宣伝すれば、どんな理論もまかり通るらしい。 不思議なのは、 世代間格差の論者は、格差是正のために、子育てや就労の支援など、若年世代への社会保障を手厚くするというストレートな対応策でなく、一気の負担増や増税ばかりを強調することだ。対応策まで米国流ということかね。世代間格差は縮んだが、経済も縮みましたでは、悲劇にすらならない。 (今日の日経) 自民、成長率目標の

    日本の新常識という喜劇 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 日本経済の実力を解き放て - 経済を良くするって、どうすれば

    今年の元旦、コラムは「消費が伸び、日は予想外に高成長を遂げる」としたが、4.1%成長という昨日のGDP速報の結果は、それが現実になったと言って良かろう。むろん、経済の動向については、複数のシナリオを用意するのが基であり、その中で一番おもしろいものを、皆さんに披露しておいたということではある。 さて、今回の高成長に対する一般的な見方は、日経にもあるように、「復興需要が下支え」というものである。たしかに、今回の4.1%は出来過ぎで、エコカー補助金や公共事業の増加に因る部分はある。しかし、あまりそれに引きずられると、消費の地力を見誤るように思う。政策要因を重視し過ぎると、高成長も一時的という判断に傾くからだ。 まず、4.1%の中身だが、在庫投資の寄与が0.4もある。在庫投資は持続的なものではないので、これを差し引くと2.5%に下がる。公共事業の寄与の0.3も長くは続かない。これも引くなら1

    日本経済の実力を解き放て - 経済を良くするって、どうすれば
  • 経済の二つの側面と現実 - 経済を良くするって、どうすれば

    日経は社説を変えたようだね。欧州の緊縮財政を日は見習えとしてきたのに、悲惨な状況を見て、軌道修正というわけだ。間違いは誰でもするもの。どうして読み違えたかを良く反省することが大切だ。「財政再建は、成長の範囲内でしかできない」という基を改めて確認してほしい。では、消費税3%アップは、成長の範囲内かね? ギリシャについて、日経は、「財政の無駄を削りながら、成長分野に資金が回る仕組みをつくれ」とするのだが、こういうのは「ネコに鈴」の議論ではないか。もし、そういうノウハウをお持ちなら、ぜひ教えてほしい。日でも応用できると思うしね。常識的には、成長の範囲内で、緊縮を進めるしかあるまい。稼がなければ、借金は返せないのだから。 さて、KitaAlpsさんも、コメントしてくれたように、経済には、実物的側面と会計的側面がある。例えば、震災復興を、財政赤字でしようが、増税でしようが、日が今持っている生

    経済の二つの側面と現実 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 経済運営から見たケインズ - 経済を良くするって、どうすれば

    山形浩生訳「一般理論」のイントロを書いたP・クルーグマンは、「料理に例えるならデサート」として、最終章は読みやすいとするが、果たして、読者は、どこまで深く読み取れるのかなと思ったりする。普通の人でもそれなりに読め、分かる人には深い意味が伝わる、そんな章のようにも見える。 ケインズは言う、「資の成長は、…低い消費性向に阻害される」と。まあ、普通は、消費という有効需要がないと、投資がなされず、資も増えないという読みだと思う。他方、分かる人からすると、高投資とは、イコール低消費なので、矛盾を感じる説明である。むろん、その問題を最終章までに解いて見せたのが「一般理論」ではある。 経済運営において、最も難しいのは、投資率を上げることである。GDPに占める投資の割合を上げることは、すなわち、成長率を上げることになるので、失業など、ほとんどの経済問題を解決することにつながる。教科書的、すなわち、古典

    経済運営から見たケインズ - 経済を良くするって、どうすれば
  • 5/6の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    原子力委の試算は、1年かけて、これかというものだった。現状維持路線が中庸に見える作り方もわざとらしく、案の定、批判にさらされ、修正を余儀なくされた。厳しい目で見られることも想像できない鈍感さ、そして、ムラの人たちに、原子力政策を任せられるのかという、よろしくない印象を与えることになった。 福島の事故後、原発に経済性がないことが判明した以上、新規投資はあり得ず、先細りは確定的だ。再処理にしても、現状のプラントで細々と続けるだけで、ほとんどの使用済み核燃料は、直接処分をするしかあるまい。新規投資に未練を残したままだから、時間をかけても、戦略が見えてこないのである。 脱原発による追加的な負担は、稼動から30年以下の若い炉の早期廃止に伴う償却損に限られる。40年以上の炉には償却損はないし、30~40年の炉には、ある程度の償却損が出るとしても、安全対策に費用がかかり過ぎて動かせなくなるのだから、リス

    5/6の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 10年前の議論の決着 - 経済を良くするって、どうすれば

    権丈善一先生が5/1のHPで、高山憲之先生の「最近の年金論争と世界の年金動向」(2002)を引用してくれている。この論文から、もう10年も経っているんだね。権丈先生も指摘しているように、「合成の誤謬」や「同等定理」として数理的な考察が進んだ結果、積立方式への転換が無意味なことは、随分前に明らかになっている。それゆえ、いまだに積立方式を唱える人がいるのは、不思議ですらある。 まあ、学習院の鈴木亘先生のように、そういう方が一人くらい居ても良かろうとは思うが、若手の研究者が引き込まれるのは忍びない。気になるのは、最近、財政当局系統の研究者が熱心なことだ。ことによると、分かった上で、負担増の必要性を喧伝する政治的小道具として弄んでいるのかもしれない。いずれにせよ、経験の浅い若手は関わらん方が良い世界だというのは、権丈先生とまったく同感である。 ついでに言うと、年金改革論において、積立方式とか、税方

    10年前の議論の決着 - 経済を良くするって、どうすれば
  • ポピュリズム・エリーティズム - 経済を良くするって、どうすれば

    古代ローマの循環政体論、すなわち、君主政から貴族政へ移り、それが民主政に代わり、更に衆愚政治になってカリスマが望まれるようになり、元へ戻るというもの、これは政治学の教養としては面白くても、現実の日政治で心配するようになるとは、一昔前には思ってもみなかった。 不遜に聞こえるかもしれないが、政治には、エリーティズムは、欠かせない要素である。経済運営でも、社会保障でも、政策立案には専門知識が要求され、その良否を判断するのにも、相応の良識が必要である。平たく言えば、能力ある官僚が政策を作り、経験深い政治家が判断し、国民の理解を広げていくという過程になる。 日で問題になるのは、官僚が政策能力を失った場合である。官僚が誤った政策にはまってしまうと、それに代わる政策を示す者が居なくなってしまう。ここが米英とは異なる。一度踏みはずと、修正は非常に難しいものになる。もしかすると、破綻に至るまで、修正

  • 一害を除く経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    今週のJMMは非常に興味深かった。正直、「異論」好みの筆者は、北野一さん以外の書き手に魅力を感じていなかったのだが、今回ばかりは、すべて読ませてもらった。内容の良し悪しより、日のエコノミスト、そして、世の中の雰囲気がどんなものか、分かるような気がしたからだ。 大雑把にまとめると、「経済成長は望ましいが、どうすれば実現できるか分からない。したがって、低成長で増税するのも仕方ない。」というところだろうか。書き手の皆さんは、筆者より若いと思うのだが、随分とあきらめが良いのだな。そして、成長の方法が分からないというのは、エコノミストとは「他愛もなく無用なもの」なのかなとも思える。 結核は、その昔、不治の病であり、栄養と休養を十分に取り、体の治癒力を高めることだけが治療法であった。デフレを前にして、金融緩和と規制緩和しか唱えられないのでは、特効薬ストレプトマイシンがなかった頃の医者のようなものであ

    一害を除く経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 4/15の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    FTのマーチン・ウルフさんがよく指摘するように、財政赤字を減らす場合、その代わりを誰が務めてくれるかを考える必要がある。財政赤字は、貯蓄を使うということだから、代わりに、企業がそれを設備投資として使ってくれるのなら一番良い。もし、使い手が現れないと、貯蓄は余り、需要が不足して、経済が縮小する形で均衡に向かってしまう。 日経済が1.5%成長するとすると、設備投資を含む全投資の割合は、だいたい1/4を占めるから、500兆円×1.5%÷4で、新たに1.9兆円の投資が生み出される。他方、消費税を1%上げると約2.5兆円の増収になり、社会保障の自然増が毎年1兆円ほどあるから、差し引き1.5兆円の財政赤字の削減となる。つまり、この程度の増税による貯蓄増なら、投資増の範囲に収まるということだ。 こうしてみれば、消費税の1%アップは、財政赤字の大きさを踏まえれば、必要なことだし、可能でもあることが分かる

    4/15の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 国破れて、税率あり - 経済を良くするって、どうすれば

    政治家は情けなく、財政当局は国の将来を憂いている」というのが、世間的な評価ではないだろうか。しかし、筆者には、財政当局があまりに強引なために、限られた資源である政治力が浪費されているように見える。日は、財政当局が展開する価値観からしか、物事が見られなくなっているのではないか。 財政当局の価値観は、より多く増税し、緊縮することに尽きる。それで成長が失速し、国民が苦しもうとも、「それは仕方がないこと」である。最近は、財政再建すら二の次となり、消費増税のためなら、法人減税や補正予算を見返りに出すのも厭わなくなった。おそらく、「国が破れても、税率は残る」という考えなのだろう。実際、1997年のハシモトデフレでは、日経済は地獄の底を覗いたが、税率が下げられることはなかった。 財政当局に対して「経済全体を見ろ」というのは、お門違いかもしれない。財政当局が増税緊縮のために策謀を巡らせるのは御役目な

    国破れて、税率あり - 経済を良くするって、どうすれば
  • 必要な経済政策とは何か - 経済を良くするって、どうすれば

    経済を良くするには、設備投資を高め、成長を向上させることが必要である。経済学では、低金利と低賃金さえあれば、収益性に導かれて、設備投資は増すということになっている。しかし、現実には、日は、この二つの条件の下でも、デフレにあえいでいる。それは、なぜなのか、これが基的な問いになる。 コラムの主張は、設備投資を判断する経営者は、二つの条件よりも遥かに強くリスクに反応し、需要の安定がなければ、機会の利益を敢えて捨てるという不合理な行動を取るというものである。したがって、現下の経済状況に対する処方箋は、急激な緊縮や一気の増税を避け、需要の安定を基礎にした自律的な設備投資の回復を待つというものである。 何とも微温的な政策かと思われるかもしれないが、日の財政当局は、2010年度には14兆円もの緊縮財政を試み、後半に景気を失速させているし、2011年度には、震災による経済ショックがあったにも関

  • 「年金破綻論のまやかし」を読んで - 経済を良くするって、どうすれば

    権丈善一先生のHPに紹介があったので、今週号のアエラ「年金破綻論のまやかし」(太田啓之記者)を読んだ。年金を始めとする世代間の負担理論は、無限連鎖という特殊な概念が必要なので、当に誤解が多い。これを一般紙で書いてくれた意義は大きい。なぜ誤解するかについては、コラムの11/28「世代間の不公平を煽るなかれ」、12/3「世代間負担論の到達点」を読んでいただきたい。 ただし、太田さんの記事の中で適当でないと思われる部分もあるので、指摘しておきたい。太田さんは、「運用利回りと賃金上昇率の差が重要」とし、鈴木亘先生の想定は差が薄すぎると批判する。確かに、そうではあるが、こういう想定は、かなり悲観的でも、あり得ないものではない。おそらく、次の厚労省の財政検証では、現在の想定よりは薄くなると思う。 鈴木先生の「破綻する推計」の問題点は、マクロ経済スライドを、所得代替率が50%を切った時点でやめる設定

    「年金破綻論のまやかし」を読んで - 経済を良くするって、どうすれば