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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (75)

  • ヒトに則した経済の設計 - 経済を良くするって、どうすれば

    「道徳性は希望的な考えではなくて、生物学的作用であり、自然選択の過酷で長い試練に耐えた生存戦略なのだ」とは、なかなかの主張ではないか。神経経済学者、ポール・ザック先生の『経済は「競争」では繁栄しない』の一節である。原題は「親愛と繁栄の根源 徳をもたらす脳内分子オキシトシン」といったところか。オキシトシンが左右する経済的行動から社会の在り様までを描いた壮快なる一書だ。 ……… 人類の歩みの中でほとんどを占める狩猟採集生活に適した行動が取れるよう、ヒトの生理的な反応システムは形成されてきた。その中には、生き抜くために不可欠だった、仲間との信頼と協力の関係を結ぶ機能も含まれる。脳内ホルモンの一つであるオキシトシンは、他人から信頼を受けると分泌され、信頼で返そうとする情動を促す。そうした心地良さを伴う相互作用が自然に道徳的とも言える行動を導く。 むろん、現代社会は狩猟採集の経済にはない。もしかすれ

    ヒトに則した経済の設計 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 経営学者と経済学者の人生訓 - 経済を良くするって、どうすれば

    日経書評に誘われ、クレイトン・M・クリステンセン「イノベーション・オブ・ライフ」を読んだ。経営学者というのは、立派な人生訓を書けるものなのだと、感服することしきりである。お人柄もあるのだろう。その点、経済学者が語るとすれば、「個々の利益追求が社会の利益になるという教えを生かし、卒業する諸君らは…」、まあ、あまり役立つ人生訓にはなりそうもないね。 ……… 書で興味深かったことの一つは、金銭的な報酬は、仕事への意欲を増す「動機付け要因」にはならず、欠ければ困る「衛生要因」にしかならないということだ。あくなき利益追求を基礎にする経済学の理論に、いきなり反する話なのだが、クリステンセン先生の方が正しいと思う。「やりがい」こそが人を動かすというのは、組織で働く経験を長くすれば、真実を衝いていると分かる。 そして、先生は、人生投資を後回しにするリスクを説く。有能な達成動機の強い人ほど、仕事や昇進な

    経営学者と経済学者の人生訓 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 成長が先か、生産性が先か - 経済を良くするって、どうすれば

    2/7の深尾京司先生の経済教室は、おもしろく読ませてもらった。経済学の常識は、個々の企業が生産性を上げ、その結果として経済が成長するというものだろう。それは分かっていながら、筆者は、成長の結果として、生産性が上がっているのではないかという、長年の疑問を拭えないでいる。因果関係を逆転させるのは、基的な思考法なので、余興につきあってもらえたらと思う。 ……… 紙面に掲載された図を見ると、製造業のTFPは、1991年のバブル崩壊を境に伸びが落ち、2002年頃から急に高くなっている。ということは、1991年から技術革新や規制緩和が停滞し、2002年から大きな進展を見せたということだろうか。正直、そうした技術的実感はまったくない。単に、バブル崩壊後に需要が伸びなくなり、2002年以降はアメリカンバブルで輸出が急増したに過ぎぬのではないか。 こうして見ると、技術革新や規制緩和によって経済を成長させよ

    成長が先か、生産性が先か - 経済を良くするって、どうすれば
  • マクロ政策と雇用の在り方 - 経済を良くするって、どうすれば

    総研の湯元健治さんたちが出した「北欧モデル・何が政策イノベーションを生み出すのか」は、非常に示唆に富むだ。民間シンクタンクのメンバーが政策論を深める成果を世に問うたことに、まずは賛辞を送りたい。今日は、第1章の労働市場に関して、いくつかコメントをしてみたい。 山田久さんが執筆した第1章の結論は、労働移動を進め、マクロ的な賃金調整を機能させ、それを積極的雇用政策で支えるというものだ。労働力の流動性を高めて成長につなげる考え方は、オーソドックスなものだろう。その中で、興味を引いたのは、金融政策のインフレ・ターゲットがマクロ的な賃金決定に及ぼした影響である。この一番おいしい部分を、もっと掘り下げたら良いと思う。 スウェーデンの場合、インタゲがあるために、労働側が無理な賃上げを強いてインフレを高めてしまと、金融引き締めの発動によって景気が減速し、結局は雇用条件を悪くすることになる。この見通し

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  • 日本は、なぜ少子化に敗れたか - 経済を良くするって、どうすれば

    1971~74年生まれの団塊ジュニア世代は、来年には全員が40歳代になる。少子化を緩和するため、人数の多いこの世代で挽回する好機は失われた。これを逃してはならないと、10年前から言われていたにもかかわらず、なぜ、こんな結果になったのか、その理由は、端的に言うと「戦力の逐次投入」である。 「戦力の逐次投入」とは、戦力を小出しに投入し、そのたびに撃破されては消耗し、敗北へと至るものだ。元々は軍事用語であり、ダメな戦略の典型とされる。最近では、経営を語る際にも使われている。まあ、それだけ、犯しがちな失敗だと言える。十二分に戦力を用意するにはコストがかかる。これに躊躇して勝ちを捨てるのである。 ……… コラムでは、少子化を緩和するため、0~2歳の乳幼児に月額8万円を給付することを提案している。大概の人は、この額を聞くだけでギョッとする。現在の児童手当は1.5万円だから、その5倍以上という「常識外

    日本は、なぜ少子化に敗れたか - 経済を良くするって、どうすれば
  • アコードの行方と予算編成 - 経済を良くするって、どうすれば

    英語でアコードと言うと、協調する、調和させるという意味である。目標を共有し、為すべきことをお互いに決めることであって、政府が中央銀行に特定の金融政策を命じるというものではない。2%の物価上昇率を目指して、安倍政権が日銀に緩和を求めるのは良いとして、その一方、政府は何をするつもりなのか。いつものごとく、来年度予算を前年並とし、「成長の足を引っ張ります」というのではあるまいね。 ……… 1%の物価目標を達成するだけでも、名目3%成長は要る。この時、政府の歳出が3%増えるのだったら、成長に対しては中立だ。前年並でゼロ%増なら、政府が伸びなかった分を、民間が3%以上伸ばして補わないと達成できないことになる。日では、こんな簡単な理屈も解されず、「デフレは脱したいが、財政は緊縮で」という無理を、誰も疑問視しない。 国の一般会計は約90兆円だから、その3%は2.7兆円である。この分を「成長戦略」なり、

    アコードの行方と予算編成 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 単純な緩和策では足りない現実 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の日経には、若い人が学べる記事が多いね。まずは、「不動産脱デフレ期待・REITは震災前水準回復、関連株6割上昇、実需とのギャップなお」という記事。金融緩和には効果があるが、それは、直接、景気の原動力である設備投資に効くのではなく、資産や為替に効くということだ。そして、他方で緊縮財政をしたら、どうなるかを考えてほしい。 資産価格が上がり、それが資産家の消費増や建設への投資に結びつけば、実体経済を浮揚させることになる。さらに需要が波及すれば、経済成長もあり得るだろう。しかし、これに緊縮財政を組み合わせると、資産価格が上がっただけになり、実体経済から得られる賃料増の裏打ちがなくなって、最後は「バブル」として崩れることになる。 筆者が言いたいのは、金融緩和には効果があるからと言って、それだけで景気を良くできると思い込み、需要管理を疎かにしてはならないということだ。しかも、資産効果はあまり大きく

    単純な緩和策では足りない現実 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 「ユーロの正体」を読んで - 経済を良くするって、どうすれば

    はてブを眺めていたら、安達誠司さんがシノドスのインタビューに答えた「『ユーロの正体』の著者に聞く」があった。筆者は、安達さんの歴史研究を評価しており、このも、出るとすぐに読ませてもらった。ユーロ危機について、淵源からコンパクトに解説していて、頭の整理の役に立つ。「ユーロ導入によって長期金利が低下し、景気も良くなって、財政赤字が改善され、周辺国も加入条件を満たせた」というくだりは、押さえておきたいポイントだ。 では、「今後、ユーロ高の局面がある」という部分が目を引いた。実際、危機が小康状態となり、リスクが低下したせいか、ユーロは戻している。これに、銀行の体力低下による対外投資の巻き戻しによるユーロ高も出てくるとすれば、新興国にも影響が広がるから、先行きが心配である。また、ユーロ高は、中心国であるドイツ経済を牽引する輸出力を弱らせることにもなる。 政策論としては、粗く言ってしまえば、安達さ

    「ユーロの正体」を読んで - 経済を良くするって、どうすれば
  • 金融緩和の病・規制緩和の病 - 経済を良くするって、どうすれば

    金融緩和は必要だし、規制緩和には意味がある。しかし、需要管理の代わりにはならない。ちょっとした緊縮財政をしただけで、それらは無に帰してしまう。なまじ効果があるために、代替物になるという幻想を持ってしまのは危険だ。今週のJMMの金融緩和を巡る各エコノミストの論考を並べて読んでみて、そんな気がしたね。 いつもながら、真壁昭夫先生の論考はまとまりが良い。金融緩和の効果には限界があるとする「肌で感じた」経験は価値あるものだと思う。結論は、企業や国民の「将来不安」があると、お金は回らないから、規制や税制の改革が重要というものだ。筆者注目の中島精也さんも、「将来不安」を「成長期待の低さ」に言い換えているが、ほぼ同趣旨である。 コラムの主張は、規制や税制の改革をしたところで、不安や期待は大して変わらないというものだ。企業は、お上の作る「成長戦略」なんて、御題目だと思っている。信用するのは、目の前の需要

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  • 経済運営・それぞれの死角 - 経済を良くするって、どうすれば

    金融緩和は不況に効く。「だったら、いくらでもやれば良い」と言うのは、経済実態の経験の乏しい者が言うセリフである。需要管理と併せてしないと、ほとんど効果が出なかったり、弊害が起こったりする。この40年の日経済の歩みは、その失敗を繰り返してきたようなところがある。 最近の失敗は、小泉・安倍政権下での円安バブルとその崩壊である。日銀の大規模な金融緩和と世界経済の好調さが組み合わされ、円キャリートレードが発生し、大きく円安に振れた。これで輸出が増加し、景気は上向いたが、緊縮財政と組み合わされて、内需が広がらず、デフレ脱出はならなかった。 構造改革派の人たちは、「成功」としたがるが、筆者には、無死満塁の絶好機に、押し出しで1点取っただけのように見える。成長の加速には、税の自然増収を経済に還元するような思い切りの良さが必要だが、池田勇人や下村治のような強気の人はいなかったということだ。もし、そんな人

    経済運営・それぞれの死角 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 来年の社会保障はデフレ要因 - 経済を良くするって、どうすれば

    需要管理は経済運営の基であり、財政と社会保障の動向を見極めるのは当たり前ことになっている。ただし、日以外での話だ。日は、需要不足によって生じるデフレに苦しんでいるのに、社会保障を見ないどころか、財政も当初予算しか気にせず、補正予算は度外視するという奇妙な国である。 来年は、3年に一度の年金支給開始年齢を引き上げる年だから、これだけで1.3兆円のデフレ要因になる。そんな年に、特例年金水準のカットで5400億円のデフレ要因を作り、そのわずか半年後の2014年4月には、更なる5400億円の年金カットと、消費増税3%アップを行う。普通の感覚では常軌を逸しているのだが、無知とは、どんなことも可能にするようだ。 日の財政当局は、「いかに国民に負担を課しても消費には一切影響しない」という、都合の良い理論に凝り固まっているので、需要管理などは視野にない。また、日の新聞や有識者は、当局が説明してく

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  • 11/26の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    金融を商売にしている者にとって、最も望ましい政策は、金融緩和と緊縮財政の組み合わせである。金融商品が値上がりし、インフレは遠のくのだから、ビジネスチャンスが広がる。法人減税や資産減税も株価や資産の上昇に都合が良い。そこまで意識的でなくても、なんとなく、それが正しい経済の在り様であるかのように思えてしまう。金融大国の米英の産官学において、そうした志向性が強いことは当然だ。 他方、モノづくり大国の日に、それが合うかという問題がある。ゼロ金利で金融緩和が効かないところに緊縮財政をすれば、デフレ傾向が進み、日米の実質金利差が開いて円高になる。内外価格差が開くから貿易自由化には逆風だ。需要減退で設備投資ができないから、法人減税で配当を増やしたくなるし、成長が見込めないから、非正規のままにできない労働規制が邪魔になる。環境規制も設備の新陳代謝が遅いと重荷でしかたがない。 いわゆる「六重苦」のうち、電

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  • 日本で言うところの戦略力 - 経済を良くするって、どうすれば

    先日、熊野英生さんの「年金の特例水準の解消に隠れる問題」を読んでいて、自分がスケジュールを勘違いしていることに気がついた。特例水準とは、「もらい過ぎ年金」と言われるもので、物価下落時に年金を引き下げなかったために、2.5%高いままになっていることを指す。先の臨時国会の解散のドタバタの中で、引き下げの法案が通ったばかりだ。 筆者は、2013年~15年のそれぞれ10月に、間隔をおいて引き下げるものと早合点していたが、正しくは、2013年10月、2014年4月、20115年4月である。国民の嫌がることは、来年夏の参議院選の後に先送りするのが狙いだとされる。おそらく、これを考えた人は、戦略的にスケジュールを設定できたと、ほくそえんでいるだろう。 しかし、これは日経済にとっては、命取りになる。なにしろ、7.5兆円の消費税3%アップに加え、公的年金のデフレ圧力を1.5兆円もかけようというのだから、尋

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  • 「霞む日本を哀れむ世界」に思う - 経済を良くするって、どうすれば

    ダイヤモンドO.L.で「だったらお前がやれ」を執筆している加藤嘉一さんの書くものには、熱が感じられる。今日のタイトルは、彼の最新のコラムのものだ。筆者とは、親子ほども年齢は離れているが、日々、日も情けなくなったと感じていることは同じだ。こちらは、それに責任を取らねばならぬ世代でもあるが。 加藤さんの結論は、なすべきは「自立すること」であり、それには、「定義力」、「戦略力」、「人材力」が必要だとする。後ろの二つはよく言われることだが、「自らの国益・国力を主体的に定義する」ことは興味深い。日は何者なのかを問うているように思える。どうも日人は、他人のモノサシで自分を定義しているような気がする。 ……… 今の日人の理想は「小さな政府」である。法人減税をやり、金融緩和をやり、財政再建をやり、社会保障を削って、とにかく資金を余らせる。既に資金はダブつき、まったく効果は見えないが、ひたすら資金を

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  • 選択肢なき総選挙の争点 - 経済を良くするって、どうすれば

    日経は「総選挙の争点は成長戦略」とするのだが、民主、自民どちらのものが実行されても、成長はおぼつかない。その意味で、選びようがない。大なり小なり、金融を緩和して、企業に資金を余らせるというものであり、この10年来、はかばかしい効用が見られなかった戦略の焼き直しである。 「同じことをしておきながら、別の結果を期待するのは、狂気なり」というのはアインシュタインの言葉らしいが、そんなところだろう。輸出需要という、外から与えられる幸運に恵まれなければ、みずから成長の機会を作り出すことができないというのが、これまでの日であり、これからの日でもあるようだ。 衆院解散の興奮の中で、もらいすぎ年金の減額が決まったが、来年分だけで年間5000億円に及ぶ。同じ10月には、毎年恒例の年金保険料のアップが5000億円ほどあるから、来年は、年金だけで1兆円のデフレ促進策を実行することになったわけだ。むろん、その

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  • 解散に思う経済運営の論点 - 経済を良くするって、どうすれば

    でポピュリズムが始まったのは、小泉政権から。しかし、安倍政権以降、使うものだったポピュリズムに支配されるようになる。原因は、拙劣な財政運営のためにデフレが続いたためであり、「官」に支えさせることで政治基盤を作るのではなく、「官」を叩くことで政治基盤を作ろうとするようになる。それは新自由主義の名を借りた自己破壊的な過程であった。 解散と12月16日投票が決まったようだが、何を訴えて選挙は戦われるのであろうか。更に「官」を叩くこと、すなわち、歳出を減らす競争が行われるのか、あるいは、特定の業界に向けて、補正予算のバラマキをささやくのか。いずれにせよ、日経済が必要とする消費を中心とする安定的な需要管理を阻害するようなものになりそうである。経済運営において、「選択と集中」は歪みをもたらすことになりがちだ。 おそらく、新政権による経済運営は、国会冒頭の補正予算で大バラマキをする一方、次年度

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  • 勤労者世帯の家計調査 - 経済を良くするって、どうすれば

    週末に家計調査を楽しもうとしたら、残念なことにメンテナンス中でアクセスできない。まあ、筆者のような趣味の人は世間では珍しいと思うがね。日曜夕方には復旧したので、今日は細かい数字をお届けする。 普段は「二人以上」の季節調整済実質指数を使っているのだが、今日は「勤労者世帯」の数字を並べることにしよう。「勤労者世帯」とは言うが、幅広い年齢階層を含んでおり、それを縮約したものだから、この世帯は、子ども手当も、年金ももらっているし、税と社会保険料もそれなりに払う、そんな主体である。 勤労者の指数の動きは、二人以上とは、若干異なり、5月と7月に消費が落ちている。理由は簡単で、所得が減ったからである。特に、可処分所得の減りが激しく、消費はこれに引きずられた形だ。つまり、税・社会保険料が重くなって、消費が落ちたということ。特に、奇数月は、年金支給という下支えがないので、響きやすい。そこからすれば、次の10

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  • 後悔先に立たずの経済運営 - 経済を良くするって、どうすれば

    家計消費の失速によって、7-9月期QEはマイナス成長が避けられない情勢だ。もし、このことが年初に分かっていたならば、我々は、どんな選択をしていただろうか。今年に入って、子ども手当を4000億円以上削減し、年少扶養控除の廃止で5000億円の負担増に踏み切った。そして今、景気対策のバラマキが望まれている。場当たり的。それが日の経済運営である。 反省の弁を述べるなら、年初で先のデフレ促進策を危ぶんでおきながら、2、3月の強めの家計調査の結果で安心していた自分がいた。今にして思えば、生産回復の所得増に隠されていた。その後、6、7月に落ち込んだとき、消費性向の低下もあり、天候要因やボーナス支給のズレの特殊要因と見たが、変調を見逃すべきではなかった。控除廃止の広い影響力を甘く見ていたのである。 先の通常国会で通っていたかもしれない補正予算が流れたことも見逃せない。前年度の税収上ぶれを還元する形で、1

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  • Gゼロ時代は来るのか - 経済を良くするって、どうすれば

    「Gゼロ後の世界」というを書店で見かけたのだが、米国が衰退すれば、当然、そうなるのであって、特別、興味も覚えなかった。ところが、今週の日経ビジネスに著者のイアン・ブレマー氏が登場し、中国にとって「日は敵に回してよい国」なのだそうだ。これがとても目を引いた。穿った捉え方だと思う。 さて、問題は、当に中国がペースを落としつつも順調に成長し続けられるかである。1980年代に強勢を誇ったソ連は、石油価格の下落とともに1991年に崩壊した。米国を買えると言われた日のバブルはうたかたで、ハシモトデフレで墓穴を掘り、15年もゼロ成長をさ迷っている。覇権が交代すると言われるときは、それが頂点だったりするのである。 筆者は、中国経済の消費比率から、早くから6%程度の成長が妥当としてきた。いまや、そうした説も珍しくなくなっている。むろん、これは経常状態のことであり、これまでの高投資の反動で、いったんは

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  • 非正規の低年金 - 経済を良くするって、どうすれば

    やはり、日も、バッドスタート・バッドフィニッシュか。今日の高山先生と白石さんの経済教室である。なかなか得がたいパネルデータを年金定期便に見出した意義ある研究だ。非正規の年金をどうすべきかは、注目されないが、当に大きな課題である。高山先生がおしゃるように、年金制度の見直しに限界はあるとしても。 根は、日の成長を再開させ、正規の職を多く作らなければならない。世代間の不公平論に踊らされ、増税や負担増、緊縮や社会保障カットを喜ぶ若い人達の姿を見ると、インフレを恐れる資産家や年寄りではあるまいにと思ってしまう。国が正規への転職を支援したところで、おのずと限界がある。 それでも、若者を採用した事業主の社会保険料負担分を雇用助成金によって実質的に免除するのは一つの方法だろう。雇用助成金を使うと財源が必要になるが、年金は単純に保険料を免除するのでも構わないのではないか。それでも、単純に年金財政が悪

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